中編3
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A城山の廃病院

もうかれこれ十年前にもなりますか、実際に私が体験した怖い話です。

当時、ある山中に廃病院があり夜な夜な肝試しと称して、私はチーマーと呼ばれた連中と良く出掛けてはキャーキャー楽しんでいました。

その事が起こった前日に、仲の良かったA君の誘いがありましたが何故か気分が乗らず誘いを断って自宅にいました…。

次の日の夜中…A君の友人のB君から、「昨日からAが帰って来ない。携帯もつながらない。」と言われ、例の病院に昨夜肝試しに言ったことを告げると、

「念のために探しに行こう」と、半ば強引説得されてしまい仕方なく向かうことになりました。

よりによってその日は雨。夏の夜の風に生暖かい気持ちの悪くなる、いかにもって日でした。

現場に到着。門は閉ざされていて、いつものように乗り越えて、正面玄関を入っていく。と、後ろからB君の声。

どうやら、A君の単車が門の前の路肩に置いたままになっていたみたいだ。

「やっぱ来たんだね。でもなんで置きッパ?」普通に誰でも思う疑問です。

私は続けて「今夜もまた此処に来るつもり、もしくは故障したんじゃ?今ごろ友達の家にでもいるんじゃ?」

ところがB君は答えました。

「今日朝から何度も掛けてるけど、つながらないし…気付けば必ず返事するだろ?あいつは。」

確かにそのとおり。何かあったと考えるべきだと私は思いました。

「つか今何時だろ?」

「23時40分過ぎだよ。」

…そんな会話をしながら、慣れたものでまず中央階段をのぼり二階へ。続いて、向かって左手にドア。もちろん開ける。

すると、目の前は長廊下なのだが数日前にボヤ騒ぎがあった場所で辺り一面真っ黒ススだらけでした。

「全くこう言うことするやつがいるから困るぜ」

と私が言うと続けてB君が、

「そういや、新聞にも載ってたしな。で、Aが見物に来たってとこだろな。」

その直後「んっ?」と言ったきりB君は黒ずんだ床の一点を見つめたまま固まっていました。

「どした?」私が訪ねると

「あれ、携帯じゃねーか?」

B君の指差す方に光を向けると、そこにまさしくA君の携帯が落ちていたんです。ただ、持ち主の姿はありません。

その携帯をB君は拾い上げ、

「電源は入らねー落ちてんな」と、ポツリ。

しばらくの間私と二人で院内をさ迷い歩き、A君を探しました。結局は見つからず、門の所へ帰ってきました。

「単車どうする?」私がB君に聞くと、

「明日の昼間俺が先輩と取りに来るよ。」とB君。

「今日のとこは、これで帰ろう。」私はB君を車に乗せ走らせ始めました。

「ちょっと!?止まって!」

私は急ブレーキで車を止めB君を見ました。

B君は驚いた感じで、留守電か何かあったのでしょう携帯に耳を当て何か聞いてます。

そして突然私に聞いてみろと言うので、携帯を耳に当ててみると微かに…

「…ハヤクカエレ…ダメダカエレ…」と、聞こえました。

「ヤバイよヤバイ。」と言って、B君は少し震えています。

「とにかく早く山をおりてくれ!」

…そこからは、とにかく夢中で車を走らせました…。私は何が何だか解らず、麓の落ち着ける場所に車をようやく止めて、B君に聞いてみました。

「急にどうしたんだよ?」するとB君は、

「あの声…あれっAの声だよな。」

私は言われてみて、そう言えばそんな気もしなくはないと思いましたが、

「これ見てみ。」と、着信履歴を見せられて血の気が一気になくなりました。

確かにA君からだったのです。

ただ……、あってはいけない着信なんです。あの床に落ちていた携帯からで、しかも履歴の時間が…

『23時49分』

まさにその時間は、私達があの廃病院にいた時刻なのですから…

………その後。

事をうやむやにするかのように、廃病院の取り壊しが決まりました。

A君の消息はいまだに解らないままです。

B君も何故か疎遠になってしまい、しばらく入院したとかしないとか。

携帯からの危険を促すようなあの声。本当にA君だったのかなんだったのか…

今だに廃病院だった場所の脇の道を走る度身震いがします。

あれから何年も経つのに建物だった敷地には草木も生えていないんです…

怖い話投稿:ホラーテラー ぐんまちゃんさん  

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