短編2
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私を狙うモノ③

正面の家の方は起きていて部屋の明かりがついていました。私は布団に戻ろうとした時に何かが見えました。

何か嫌な予感がしたので振り返ると正面の家の人が、その室内にあしらえた紫色の暖簾に真っ白なインクのペンで描いたように鬼のような物凄い形相こちらを睨む男女の老人の顔が浮かんでこっちをじっと見ていました。

もちろんそんな柄の暖簾ではありません。そう確信できたのは私が突然の出来事に硬直していると正面を向いていた顔が横向の顔になり目や口を動かしたからです。

どうしていいかわからずにいると、その家の住人が部屋を素通りしたのですが、その顔の存在に全く気づきません。

しかし2つの顔は再び正面を向いて素通りするのを左から右へと目を監視するように動かしていました。

その後はまた私を睨みながら口を動かしています。

寝室に仏壇を置いているので守られたのか2つの顔は徐々に薄くなって消えていきました。

私の首を絞めたモノといい2つの顔といい、私につきまとう何かがいるということを教えてもらった気がします。

それから今のとこ再び見ていませんが、急に家中の空気が変わり激しいラップ音が鳴る時があります。

お寺や家でお経を読むようになって少しずつ守られているためか恐らく私に近づきにくくなっているようです。

しかしわざとラップ音を鳴らして、私に存在をアピールしているようです。

私に対する強い執着を感じます。

同時期に私は友人と久しぶりに会って喫茶店で世間話をしていました。

私は最近お寺に行って調子がいいと話すと友人は興味を示して、自分も行ってみたいと言うので連れていきました。

お経を一緒に読んで帰ろうという流れになり読み始めると、友人は小刻みに震えだし顔色が悪くなりました。

あまりの変化に驚きながら、さっきまでの元気な様子が微塵もないので外の空気を吸わせようとしました。自力で立って歩けない程、具合の悪い友人を連れてでたとたんに友人は人が変わったように急に顔色が良くなり元気になりました。

しばらく付添い再び中へ入ろうと促すと友人は「お経を聞くことができない」と言って頑なに拒否します。私は残りのお経を読んでくるので、友人には終わるまでロビーで待ってもらいました。

→④

怖い話投稿:ホラーテラー エリアコードさん  

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