短編2
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あの世への電車

先日、会社からクビを宣告された…

俺は生きる気力も無くなり、自殺を考えながら、トボトボ歩いていた。どれくらい歩き続けたのか、ふと顔を上げると、見たことのない風景だ。目の前にはかなり古い駅、周りに人など誰ひとりいない。行き先のない俺はその駅へと足を踏み入れた。

駅の中にも人ひとりいないどころか、何十年と使われていないような感じだった。そしてホームにあるベンチに腰をかけた。ふと顔を上げた。驚いたことに古びた電車が停車していて、車内には人が何人か座っていた。俺はその電車に乗りこんだ。車内に座っている人はみんな、顔を下に向けている。車内を見まわしていると、俺は驚いた。

なんと、半年前に交通事故で死んだ親友が座っていたんだ。馬鹿なことがあるかと、目をそらしながら見ていた。どう見ても、半年前に死んだ親友だった。あり得ない。

周りを見渡せば、みんな死んだような、虚ろな眼をしている。

俺は段々怖くなってきた。この電車の行き先はどこなんだ?どこへ向かうんだ?俺は一刻も早くこの電車を出なければいけないと思った。自殺を考えていたが、死ぬのが怖くなってきた。ここにいては死ぬと思った。車内の人々が一斉に俺に顔を向けると同時に、俺は電車を飛び出していた。走って走って無我夢中に走っていた。

気づくと、俺は駅前の公園のブランコに座っていた。いつもと同じように騒がしい駅前……、

ふぅー、と俺はため息をついた。

俺は頑張って生きて行こうかなーっと思い、歩き出した。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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