中編3
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青少年の家

今から約10年程前に、私は、とある子供会の指導員をしていた。

夏休み限定のアルバイトで、毎日のように子供達と遊んでいた。

夏休みも後半分になった頃、子供会で、琵琶湖近くにある、毎年恒例の【青少年の家】に行くことになった。

現地から、観光バスで走ること2時間、ようやく青少年の家に着いた。

見た感じは、かなり古く、まるでホテルの廃墟みたいな感じだ。

青少年の家の周りは琵琶湖に囲まれており、昼は素晴らしい景色なのだが、夜になると薄気味悪くなる。

中に入ると、意外に綺麗なフロントが広がる。

建物全体もかなり大きく、体育館もあり、別館もある。

部屋は六畳くらいで、ベットが4つあり、右、左、に2つずつ別れている。

辺りは段々暗くなっていく

子供達を適当に寝かしつけ、ここからは大人の時間だ。

指導員は全員で12人いて、4人がアルバイトだ。

皆地元の友達で、普段から仲の良い奴らだ。

少し、お酒も入り、その4人で肝試しをする事になった…。

私達が居る所は、新館で、更に奥に行くと、旧館がある。

今はあまり使われておらず、かなりの雰囲気をかもしだしている。

暗い、細い廊下を、てくてく歩いていく。

その廊下も不気味で、ずっと一本道になっていて、部屋が左右に何個もあるって感じだ。

あまり使われていないのか、埃が舞っている。

隙間風のせいか、奥の方から人の叫び声の様なものが聞こえてくる。

ゥゥゥゥゥォォォー

4人は皆それぞれの服を引っ張り、身をよせあって歩いている。

遂に1番奥の部屋の前に着いた。

その部屋は、固く南京錠で固定されていて、お札の様なものが、ドアに貼っていた。

皆お札を見たことが無かったので、これはヤバイ、と思ったのでしょう、早く帰ろう、て話になった。

皆それぞれが足早になっている。

ゥゥゥゥゥォォォ

相変わらず隙間風が恐怖心を増していく。

一本道の真ん中あたりに来た時だろうか、4人の1人が呟いた。

「なぁ、今通ってきた道に窓なんかあった?しかもこんな風強かった?」

「!!!!!」

そう、通ってきた道に窓は無く、部屋のドアも全て完全に閉まっていた…。

隙間風じゃない?

皆一緒に1番奥の部屋を見た。

!!!

部屋の前に作業員らしき人が、立ってる。

横を向いて、肩を落とし、下を向いて立っている。

皆怖すぎて、腰を抜かしている奴もいた。

しかし誰一人声を出さなかった。

気付かれたらヤバイと、皆そう思ったのだろう。

足音を立てずに、ゆっくりゆっくり、暗い長い廊下を歩いていく。

次第に作業員の姿は、見えなくなっていく。

すこし安心していた私達。

その一本道も、あともうすぐだ!

突き当たりを左に曲がる!!

え?

本当の恐怖とはこうゆうものか!!

と実感させられた。

左に曲がっても、また一本道が口を開けている。

後ろにいっても、前にいっても同じ場所…。

帰れなくなった。

皆恐怖で顔が死んでいる。

そんな私達の恐怖心を弄ぶかのように、作業員が前から走ってきた!!

ダーーー

後ろに逃げる私達。

しかし後ろからは、作業員が、歩いてくる。

無表情で…。

前からは走ってくる。

逃げ場が無い。

正直、死を覚悟した私達。

そして後ろから来た、作業員が、何かぼそぼそっ言った。

それを聞いた私は気を失った。

目が覚めると、新館のトイレの入り口に4人は寝ていた。

皆抱き合い、無事を心から喜んだ。

最後に男が言ったこと。

なんだ、見つけに来てくれたと思ったよ。

あの部屋にはまさか。

怖い話投稿:ホラーテラー たこやきさん  

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