短編2
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『きづいたコト』

昔よく遊んだ友人から連絡があり、俺のアパートを訪ねてくれることになった。

俺が東京に引っ越してきたばかりの時は、手紙のやりとりはしばらくあったが、いつしか連絡はとらなくなっていた。

20年ぶりの再会だ。

約束した時間より遅れて、夜おそく彼はやってきた。

ドン、ドン、ドン!

ドアを開けると、なんとなく昔の面影のある彼が立っている。

すぐに異変に気付いた。

顔面蒼白で全身汗で濡れている。

久々の再会に浸っている場合ではないようだ。

「何か、あった?」

彼を部屋に入れ、タオルを渡した。

『今から、ワシが話すことよーぐ、聞いてけれ…。』

方言と訛(なま)りがあってわかりずらいと思うので、変わりに説明する。

せっかく東京に来たのだからと、ついでに彼は東京見物をしてきたそうだ。

東京タワーを見た後、近くの公園の散歩してたついでにトイレに入った。

しばらくして、何か気配を感じた。

ふと上を見ると隣の個室から女が顔だけ覗かせている。

びっくりした彼は、トイレから逃げ出した。

しばらく走って、墓地を過ぎた頃、今度は足にずっしりと重みを感じた。

間違いない、足首をつかまれている。

あまりの痛さに足元を見ると、さっきの女が苦悶の表情を浮かべ、見上げていた。

究極の恐怖を味わうと声が出ないらしい。

しばらくして、女は消えるようにいなくなり、友人は無言のまま全速力で走った。

こうしてようやく、俺のアパートに着いたそうだ。

友人は最後にこう、付け加えた。

『本当怖いべなぁ………、都会のおなごは。』

「じゃなくて、霊なんだけど。」

俺は言いたかったが、あえて言わなかった。

それより、もっと気になることがあったからだ。

友人が部屋に入ったときから、俺は部屋の空気に違和感を感じていた。

「さっきから、ずっと気になってたんだけどな……」

俺は恐る恐る友人に尋ねた。

「便所でケツ拭いた?」

友人はさらに青くなった。

怖い話投稿:ホラーテラー ソウさん  

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