第4回「コロナをぶっ飛ばせ!」 2021秋のリレー怪談 スタート!!
◯小説の形式及び登場人物
2021、11月21日現在
舞台;私立鳳徳学園高校;明治時代に建てられた地方の進学校。元は男子校であったが平成に入り共学制に。
旧校舎には時計塔あり。ロンドン塔によく似ている。 敷地内の一角に英国人墓地と併設して礼拝堂がある。
主人公;秋永九十九(あきなが つくも)。ごく普通の男子。部活は未定。残りの書き手さんに任せます。
ヒロイン;甘瓜美波(あまうり みなみ)、転入生。すらりとした体系のボブカットの美少女。背は高め。周囲に溶け込む気が余りないが敵は少ない。悪夢の中で主人公に会う。父の都合で引っ越してきたことになっているが、実はストーカー被害に悩まされていたことが原因。
甘瓜花波:甘瓜美波の母。鳳徳学園の新米英語教師。
因みに甘瓜家の家系。
雪波→月波→花波→美波。
校長;ロビン・ウィルソン。片言の日本語を話す英国人。顔の怪我を隠す為に半分白い仮面で覆っている。あからさまに怪しすぎてかえって怪しまれない。ニックネームは便器。
マリア・ウィルソン:故人。ロビン・ウィルソンの娘。
大神遊平の元妻であり、大神遊輔の母親。
八島弘:ロビン・ウィルソンの側近。
大神遊人:大神遊輔の祖父。
大神遊平:大神遊輔の父。妻はロビン・ウィルソンの娘、マリア・ウィルソン
オカルト研究部部長・大神遊輔。金色の目を持つ。甘瓜みなみにフラれる。狼一族とヴァンパイ◯一族のハーフ?※超難関キャラw
気水百香:大神家に仕える鳳徳学園の教員。
護摩堂アキラ:鳳徳学園生徒会長。自信が秀才である事に自負を持つ、完璧主義者。 生徒会長の権限として、彼だけが校長との面談を許されている。 八島の存在に疑問を持つ。
沢カレン:鳳徳学園二年。オカルト部の幽霊部員。今どきのギャル風女子。好奇心旺盛。体育は嫌い。放課後はデートと称したパパ活。
ユウタ:沢カレンの中学の同級生
月島聖良(つきしませいら)……進路に悩む鳳徳学園の2年生。甘瓜美波の母、英語教師の甘瓜花波と親交を持つ。魔夜中に取り込まれノイローゼになり入院。その後、学園の旧校舎から身を投げる。生死は不明。
日本生まれの日本育ちで和食党だが、曾祖母が英国人のため瞳は碧眼。曾祖母はロビン・ウィルソンの父の、姉にあたる人物。
麻希子……聖良のことを「セーラ」と呼ぶ友人。普段はいい加減だが、友だち思い。聖良にトドメを刺す。
時系列は以下の通り。
・約20年前。2001年頃。甘瓜花波とマリア・ウィルソン、鳳徳学園に在籍。教師になる夢を語り合う。
・鳳徳学園卒業後、ふたりとも学生結婚をし、大学を中退。花波は美波を、マリアは大神遊輔を出産。マリア死去。
・約10年前。2011年(美波、遊輔は小学生)。英語教師として赴任してきた花波と、月島聖良が出会う。
ふたりとも魔夜中に取り込まれ、花波の魂は八島の手中に落ちる。聖良はノイローゼになり、文化祭の前後に旧校舎から身を投げる。
・現在。2021年。魔夜中の中で、聖良と護摩堂アキラが出会う。
魔夜中;悪夢の中を指して甘瓜美波がつけた呼称。
魔夜中に持ち込めるもの;ない。だが鬼火の怪人(ジャック・オランタン)を倒せるものは夢の中にも存在する。英国人墓地、といえば○○が埋まっているはず。ただこの〇〇を使うかは残りの走者次第。
◯リレー順および〆切り(※順不同・敬称略)
第一走者:ゴルゴム13(掲示板〆:10/9 23:59/「怖話」投稿予定:10/10)
第二走者:五味果頭真 (掲示板〆:10/16 23:59/「怖話」
投稿予定:10/17)
第三走者:ロビンⓂ︎ (掲示板〆:10/23 23:59/「怖話」投稿予定:10/24)
第四走者:rano_2 (掲示板〆:10/30 23:59/「怖話」投稿予定:10/31)
第五走者:あんみつ姫(掲示板〆:11/6 23:59/「怖話」投稿予定:11/7)
第六走者:一日一日一ヨ羊羽子(掲示板〆:11/13 23:59/「怖話」投稿予定:11/14)
第七走者:綿貫一(掲示板〆:11/20 23:59/「怖話」投稿予定:11/21)
第八走者:珍味(掲示板〆:11/27 23:59/「怖話」投稿予定:11/28)
第九走者:車猫次郎(掲示板〆:12/4 23:59/「怖話」投稿予定:12/5)
第十走者:ゲル(掲示板〆:12/11 23:59/「怖話」投稿予定:12/12)
○ 控え走者 (およびリレー順希望)
・ふたば
□物語の形式
①「前半オムニバス+後半なぞとき」
メインキャラ5人(前後)分の導入となるオムニバスを4~5話続けて
残り7~8話+エンディングで、たっぷりと謎解き(および恐怖体験)。
②「途中オムニバス」
主人公視点で物語が進んでいく途中途中に、主人公以外の視点で語られる話がある、という形式。
⇒(意見)まあこれについては、いざ始まってみたら自然に決まるかもしれませんね。。
□最終話について
①合議制で内容を決め、代表者1名が執筆を行う。
②マルチエンディング →その場合、複数の希望者がそれぞれ結末を用意する。
⇒①をトゥルーエンド、②はアナザーエンド(ifのエピソード)とするなら、両立するかもしれませんね。
□タイトル 候補
タイトル候補;魔夜中の殺人鬼、魔夜中の狩人、鬼火の狩人、鬼火舞う学園、鬼火の牢獄、鬼火舞う牢獄、旧校舎に鬼火舞う刻、魅惑の旧校舎~紅蓮の狩人。
・放課後の獄舎 ~転校生と鬼火の狩人~
・ミッドナイト・パーティー
・神無き月の狩人
・Faceless sneaker(顔のない 忍び寄るもの)
○現在までのダイジェスト(綿貫様まとめ)
2021.10.16 現在。
■第一話(秋永九十九)
□シーン1 悪夢の中
九十九が、どことも知れない建物の中を歩いている。
建物の1階で、頭部が縦長のカボチャのような、背の高い、謎の人物に遭遇する。
男の手には紅蓮の炎をまとう、大ぶりの鎌が。
男の背後には制服姿の少女の死体があった。
ガツンという衝突音とともに、悲鳴が響く。男の背後にもうひとり誰かがいることに気付く。
□シーン2 学校/教室の外
九月下旬。十月末に行われる文化祭に向けて、学校中が盛り上がりつつある。
転校生の甘瓜美波が、九十九に話しかけてくる。
美波は親の都合で九月に転入してきたばかりだが、その美貌とふるまいから、当初は注目を集めていた。
しかし、オカルト研究部部長・大神遊輔のラブレターを破り捨てた事件で、「甘瓜さんは甘くない」と噂が立ち、今では男女ともに彼女から距離をとっていた。
そんな孤高の美少女に話しかけられドギマギする九十九であったが、「昨日、夢を見なかった?」という美波の言葉に戸惑う。
美波は九十九をある場所へと誘う。
□シーン3 旧校舎
美波は「あなたの見た夢の場所は、この旧校舎である」と告げる。
たしかに窓の外に見える時計塔に覚えがあった。
「校内に礼拝堂と英国人墓地があるのを知ってる?」
「私は昨日、殺されかけた」
次々と謎の言葉を紡ぐ美波。
聞けば、紅蓮の鎌を持った化け物―ジャック・オー・ランタン―に、廊下の突き当りで殺されかけたのだという。
それがただの夢でない証拠にと、美波は首の付け根に現れたミミズバレを見せる。
夢の中で彼女よりも先に女生徒が殺されたが、美波の調べによると十年前に死んだ生徒であるとのこと。
「あなたも私の夢の中にいたのよ」
ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、
鳴らずの時計塔が突如鳴り出す。
■第二話(大神遊輔)
□シーン4 自室
オカルト研究部部長・大神遊輔は、先日、甘瓜美波にラブレターを出したものの、ビリビリに破かれ玉砕。そのことを校内の裏サイトにもさらされ、ショックから不登校になっていた。
悪夢を見て飛び起きる遊輔。手元の時計はPM4:44を示している。
夢の内容を振り返り、気になることが出てきた遊輔は、それを確かめるため学校に行くことにする。
□シーン5 祖父の部屋
出がけに祖父に呼ばれ、父とともに祖父の部屋に。
不登校を責められるかと思いきや、
「そろそろ文化祭だ。文化祭といえばなんだ?」と謎の問いをされる。
祖父も父も遊輔の通う高校のOBだが、私立鳳徳学園は元々は男子校で、また時代柄男女交際のチャンスなど文化祭以外になかった、と告げられる。「恋愛については奥手な家系だ」とも。
大神家には遊輔の物心がついた頃から、すでに祖母・母親の姿がなかった。
□シーン6 旧校舎①
遊輔は、美波に惹かれた原因のひとつは「甘い香り」であると考えていた。
学校に到着すると、悪夢に見たであろう旧校舎へと向かう。
現場に着いて、場所の確信を持つ遊輔。
彼は悪夢の中で、美波が何者かに襲われるのを見ていた。
□シーン7 旧校舎②
遊輔は旧校舎で美波と九十九の姿を目撃し、逢引きであると思い込む。
九十九に首筋を見せる美波に、嫉妬から正気を失う遊輔。
思わず走り出し、旧校舎の裏側、英国人墓地へと足を踏み入れる。
遊輔は旧校舎に、美波とは別の魅惑的な香りが漂っていたことに気が付く。
墓地には、誰かが掘り返したような跡があった。
墓穴の中にはあるべき棺桶の存在はなくなっていた。
頭上の空を大きな鳥のような影が横切る。
空に浮かぶ真っ赤な満月を見て、自分の身体が大きくなり、全身を毛が覆いつくす感覚を得る遊輔。
その時、突然鳴らずの時計塔が鐘を鳴らし始め、それにあわせ、遊輔は吠えた。
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今回、ラノお姉様の投稿が早く時間が余りましたので、次の走者の方にはその分長めに執筆時間をとってもらいましょうか?いかがでしょう?
ラノお姉様。お疲れ様でした!
超激走でしたね…ひひ…
さて、とりあえずラノお姉様には次の走者をご指名いただきたいのですが、もし、次、自分がいきたいよー!って方がいらっしゃいましたら、挙手をお願い致します!
ラノお姉様こんばんは。なんと!お早い!
しかも、ワクワクする展開。まさかの八島とマリアが…ひ…
【第四話】
カア…カア…カア…
「パパ、ママ、見て!あそこ、黒い鳥がいっぱいいる!」
「ああ、あれはカラスだよ」
「なんで、カラスがいるの?」
「守っているんだよ」
「何を?何で?何で?パパ教えて!」
「ふふっ、マリアは知りたがり屋さんね」
「そうだな…ほら、おいで、肩車しよう」
「わああ、高ーい!」
「マリア、よく見てごらん…あれはロンドン塔といって、王様やお姫様の住まいだったんだ。でも、それだけじゃない。武器を仕舞っておいたり、時には牢屋にもなった。とても、とても沢山の歴史があるんだよ」
「カラスは、それを守っているの?」
「そうだよ。飛ぶことは出来ないけど…」
「なんで飛べないの?」
「守り神だからさ。カラスがいる間は、女王も、この国のみんなも平和に暮らせる…その為には、飛んで行ってしまわないように、羽を少しだけ、切らないといけない…」
「…そうなんだ…」
「でもその代わり、お家やごはんを、ちゃんと用意されているんだよ。それに…」
「それに?」
「特別な力がある…僕達と同じ…」
「パパと?何で?どんな力なの?」
「なんだろうね…いててっ、こら、やめなさい!マリアったら…」
「ひみつはだめー!何で何で?教えてパパ!何で~!」
「あらあら、ダメよマリア…」
「ミス・マリア、お父様に乱暴はいけませんよ」
「ヒロ!ヒロもパパにお願いして!教えてって!ねえ、何で?」
何で…?何で…?
どうしてこんなことするの!?私、彼を愛しているの…それに…
あの人との子供がいるの!…
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ギャアッ、ギャアッ、ギャアッ…
「チッ…こんな所に作りやがって」
2週間前から悩まされていた音の正体が、ようやく判明した。
すぐ隣の空き地にある大木の上…しかも私の部屋の窓と同じ位置に、カラスが巣を作っていたのだ。
ギャアッ、ギャアッ、ギャアッ…
金属ハンガーや木の枝で出来た小さな巣いっぱいに、3、4羽の幼鳥が、ザンバラな羽をバタつかせ、醜い声で叫び続ける。
いつの間に孵化したのか…早朝から響くこの忌々しい声のせいで、睡眠時間が削られていた。
苛立ちの沸点はとうに臨界点を超え、彼らの営みを許す、心の余裕は皆無だった。
「マジ、うるさい…!」
部屋の奥に立てかけていた、細長い袋を取り紐を解く。ピンと伸びた弓…その体を横たえ、私は躊躇なく窓に付き出し、押した…
ギャアッ、ギャアッ、ギャ、ギャ!ギャアアア!!!
バサバサ…ガサッ…ガシャン…
断末魔のような音が、響いて消える。
同時に…視界が開け、大木越しに爽やかな風が通る。下を覗くと、木の枝がちらほら落ちているだけで、どうやら本体は、敷地の外側に落ちたらしい。
…これで、やっと過ごしやすくなる。
「カレンちゃん?起きたの?朝ごはん出来たから、降りてらっしゃい」
「…はーい、わかった」
沢カレン、鳳徳学園高校2学年。親の勧めで弓道を習うが、練習に嫌気が差して脱線。その後、友達の誘いでオカルト部に入るも、活動には一度も参加せず、今に至る。
目下、とりあえずの楽しみは…生徒や教師の噂話や、デートの相手探し。
「ねえ、大神君ってまだ学校来ないね」
「失恋の傷、まだ癒えてないんだね~、でも、甘瓜美波って、大して可愛くなくない?」
「私はあなたたちと違うのよ、って雰囲気が超苦手…何考えてるか分からないし」
「ところで、カレンは次どうする?相手」
「ああ、目星は付けてるんだけど…もう一押しかな?外国人なんだけど…」
「…もしかして、『便器』?」
「はぁ?違うよ!…ねえ、校長先生って、いつも何してるんだろうね?」
「さあ…知らない」
「だよね、変なお面したイギリス人って事しか知らない…けど、」
「けど?」
「校長室を出入りしてる男の人は何回か…」
「へえ…先生じゃなくて?」
「多分…なんか、謎だよね」
たまたま偏差値が届いたのと、制服が可愛いという理由で入学しただけ。
なのに、この学校の奇怪な空気といったら…
ちょっと良さげな青春を送れれば十分だった私の思考を侵食するように…それは、ますます濃くなりつつあった。
便器型のお面を被ったガイジンの校長…陰気なオカルト部の部長に、不気味な転校生。
そして、私の目線の先…ぼんやりとそびえ立つ、古い時計塔と、旧校舎────
噂では、夜中突然大時計が鳴るとか…昔、女生徒が事件に巻き込まれたとか。
普通じゃない空気にウンザリしている一方で…あの古びた造形が、私の好奇心を駆り立てていた。
何故?分からない。そもそもこれは、私の意思だろうか?
何か…得たいの知れないものに引き寄せられている気がして、背筋が冷たくなる。
これは一体…
「あなたたち、ここで何しているの?」
突如、聞き覚えのある声がして、反射的に体が固まった。その背後を、コツコツとヒールの足音が近づき、声の主は、私とクラスメイトの顔を覗き込んだ。
「先生…」
「昼休み終了まで残り10分…そろそろ教室に戻る時間では?」
気水百香。学校の指導教諭の1人。ダサい黒縁眼鏡に、地味なスーツ。事あるごとに、時間だの校則だの…今時、校則を律儀に守っている生徒なんて、生徒会長の護摩堂アキラくらいだろう。うるさい女。
「はあい、ごめんなさ~い」
「沢さん!その言い方…謝罪と言えるのかしら?」
「…申し訳ございませんでした」
最近、気水百香はやけにピリピリしてる。もしかして、「あれ」がバレるの、気にしてるのかな…
つい1週間前の夜の事。おじさんとのデートの帰り道…ふと通り過ぎた校舎の裏口から、気水百香が誰かと出てくるのを見かけたのだ。
その誰かが、大神遊輔だと気付いた時は思わず声が出た。教師と生徒の恋愛は別に珍しい事じゃない。ただ、それが気水百香と大神遊輔という組み合わせ…笑いが止まらなかった。
先生、大神君と、どんなイケナイ事してるのかなぁ?
「気水先生怖かった~、あれ、カレン笑ってる?」
「もう慣れたし!ふふっ…」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
午後9時。待ち合わせ場所のコンビニに向かうと、既に彼が一服しながら待っていた。
「ユウター!お待たせ!」
「おお!カレン、久しぶりー!」
中学時代の同級生、ユウタ。ちょっとチャラいけど、心根は優しい奴。何より、私の遊びに、唯一まともに付き合ってくれる男友達だ。
「びっくりしたよ…カレン、昔は超怖がりだったのに、どういう心境の変化?」
「まあね~、とりあえず行こう?めっちゃ面白い場所だから…」
「すげえ楽しみ、うわ~テンション上がる!」
「まあまあ、くれぐれも大きな声出さないようにね…」
身バレ防止にフードを被り、裏門を飛び越える。当然、校内は暗く静まり返っている。少し歩いた所で、懐中電灯の明かりを真っ直ぐ向けると…暗闇から浮き出るように、古いレンガの壁が姿を現した。
通用口は既に、何者かに破られている。多分、気水百香の仕業だろう…こんな場所で、夜毎大神君と逢引きだなんて…
「こわ~、いくら何でも、こんな場所で?」
「この目で見たから多分間違いない。立ち入り禁止区域なら、誰にも邪魔されないでしょ?」
「そうだけど…他人のイチャイチャ現場を写真に収めるの、気が引けるなあ(笑)」
「とにかく行くよ!」
割れた窓ガラスの破片を除けながら、慎重に足を進める。思っていたより廃墟感は無い。が、板張りの廊下を歩く度、埃とカビが混じった臭いが漂う…
さて、先生と大神君はどこかな…
緊張と興奮で、鼓動の波紋が全身を伝い、その度にゾクゾクと毛が逆立つ。
ただの教員と生徒の関係に、自分が何故ここまで執着しているのか分からない。正直、大神君にも甘瓜美波にも大して興味が無い。
ただ…気水百香という存在が無性にウザかった、それだけ。このスキャンダルを公にすれば、この学園から姿を消すだろう…そう思ったのだ。
どれくらい時間が過ぎただろう。廊下を延々と歩くも…それらしき気配は一向に感じられない。同じ景色の連続に、飽きてきたのだろう。ずるっ、ずるっ…と、ユウタのだるそうな足音だけが、背後から響いていた。
「ユウタ、音立てないでよ、バレるじゃん…」
ずるっ…ずるっ…
ムカつく、マジで人の話聞けよ…ユウタ…ユウタ?
ふと足を止める。すると、ユウタも歩くのを止めた。時計塔の方角から、バサバサ、と何かの羽音が微かに聞こえるだけで、辺りは急に静かになる。ユウタは依然無言のまま…
「ちょっと…何か言っ────」
振り返ると、いつの間にかユウタの姿は忽然と消えていた。足音も、声も立てず…そんな事ってあるだろうか?
「え、うそ、ユウタ…」
ギャアッ!ギャアッ!ギャアッ!ギャアッ!
突如、何処からともなく、あの忌々しい声が鳴り響いた。
ギャアッ!ギャアッ!ギャアッ!ギャアッ!
何…!?一体何が起きてるの…!?
ギャアッ!ギャアッ!ギャアッ!ギャアッ!
鼓膜が痛い…嫌だ…うるさい、うるさいうるさいウルサイ!
「黙れ!!あんな所に…私の家に巣を作るアンタらが悪いのよ!」
ヤバい事態になっている事は、明白だった。早く、早くここを出なきゃ…出口、出口は────
「うそ…」
真っ直ぐ入り口から進んできただけ。なのに今、目の前には、いつの間にかレンガの壁が立ち塞がっていた。
うそ、おかしい、だってさっきまで扉があったのに…何で?何で!?何で!!
ズルッ…ズルッ…ズルッ…
「…ユウタなの?…びっくりさせないでよ!ねえ…どこにいたの?」
ぴちゃ、ズルッ…ぴちゃ…ズルズル…
「ねぇ…ユウ、タ────?」
異様に膨れた顔、異様に長い体、右手に大きな鎌、左手に…
……首?
「…うそ…でしょ…な、んで…」
誰か、助けて、助けて…ここから出して…!
ギャアッ、ギャアッ、ギャアアアアアアッ!!!
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「…校長、お加減は如何ですか?」
「ヒロ、ここは学校じゃない。校長はよしてくれ」
「これは失礼を、お許しください」
「フフ…まあ、仕方なかろう…具合は、幾分か良くなったよ…」
「良かった…どうか無理をなさらずに、もうお休みになりますか?」
「ああ…そうするよ、今日は、朝から嫌なものを見た…」
「ええ…立場は違えど同じ眷属の者が…しかも、無垢な子供達があんな目に遭うとは…」
「あれは、学園の生徒だ、今頃…酷い夢を見ているに違いない。それに…あの雄叫び…」
「ウィルソン様…」
「君には、嫌な役回りばかりさせてしまっているな…それも全て、あの男の所為だ…」
「私の使命は、ウィルソン家一族をお守りする事。全て当然の事です」
「役者はもう間もなく揃う…どうか、その時まで…ヒロ、お前だけが頼りだ…」
「勿論です、ウィルソン様…」
顔の皮膚を歪ませる、痛々しい傷痕…
高度な移植手術の結果も虚しく、それは呪いのように刻まれ、今日まで苦しめ続けている。
妻を失い、先代を失い、最愛の娘まで…禍々しい一族によって奪われ…
今度は、いつ目覚めるかも分からない「あの力」の存在に、自らの命が脅かされている。
あの少女の、覚醒に。
ふと、廊下の姿見に映る自分と目が合う。右腕に、羽が貼りついたままだった。この能力を使いこなすのは、未だ容易ではない。
────ヒロ!お願い…私、彼を愛しているの、本当に────
「マリア…」
誰のせいでもない、そう言えたらどんなに良いだろう。
僕も、あなたも、抗えない宿命の元に、生まれ落ちたに過ぎないのだ。
脈々と受け継がれてきた、この血筋からは逃れられない。だからこそ、
「もう、あいつらの好きにはさせない、大神、お前達だけは…!」
因縁に決着をつける、今度こそ…
【続く】
皆さま、お待たせしました。どうにか第四話入稿しました。今夜には投稿できそうです。
新キャラも数名追加してみました。あと、中編でまとめるつもりだったのですが、構成上、長編9分になってしまいました。ご了承くださいm(__)m
あれ?すみません。あんみつお姉様と意見が被ってしまいました…ひ…
ゴルゴム先生、そうですね。
確かに学園ものなので、キャラ被りのしない生徒が後二、三人は欲しいところです。
知的な出来杉くんキャラや、不思議ちゃんキャラなんかいいような気がしますね…ひひ…
あんみつお姉様!最近、お姿をお見かけしなくて寂しい反面、心配しておりました!
はい、自分的にはもうひと展開、甘瓜みなみと九十九の描写も書きたかったのですが、正直、僕が触ったら崩壊しそうな気がして少しビビってしまいました!…ひ…
時間はだいぶかかりそうですが、皆さんといい物を作りたいと思いますので、二周目も視野に入れながら皆様の走りを応援したいと思います!…ひひ…
綿貫先生、了解致しました!
猫お兄様、すみません!なんとかお兄様のお力で気水を
謎に満ちた美しいお姉様にして頂けたら幸いです!
ちなみに僕の中での気水のイメージキャラは僕が昔からファンだった西田尚美先生です!…ひひひ…
ラノお姉様!ご健闘をお祈りしております!
珍味お兄様!なんと嬉しいご感想をベリーストロングゼロで乾杯です!ちなみに僕の八島のイメージは寺島進先生です…ひひ…
僕の出したキャラを皆さんがどう料理していくのか、これからの展開が本当に楽しみです!
@ゴルゴム13 様
学園ものですから、学生主体となるのは当然でしょう。
主人公の九十九と絡む同級生、男女比は、1:2ぐらい?
優秀な子、ツンデレな子。
物語としては、まだ序盤の伏線張りの段階を少し回った感じですからね。
「謎」と「怪異」それと「夢」と「現実」少し整理したほうがいいのかもしれません。
私としては、もう少し突っ込みたいくらいですが、あまり欲張らないほうが破綻も少なく面白いかも知れませんね。
@rano_2 様
すっかりご無沙汰しております。
お元気でしたでしょうか。
rano-2様 第4走者の走り、頑張ってください。
お話も随分、幅と深みと、ストーリーが複雑になってまいりました。
応援しております。
rano-2様も、この一週間は、本当に大変かと存じますが、楽しみながら、頑張ってくださいね。
私も、、超多忙な毎日を乗り越え、時間をやりくりしながら、掲示板での皆様とのやり取りを楽しみたいと存じます。
前半後続の方に提案と言いますか、お願いがあるのですがよろしいでしょうか。
前にも書いたので恐縮ですが、今回は学園が舞台なので、学生が中心でないと面白みを活かしきれないと思います。ここまでで大人のメインキャラは刑事または探偵を除いて出揃ってきたと思うので、学生をあと三人ほど増やしてもらえますでしょうか?
すでにご検討中であれば済みません。
@ロビン・ウィルソン様じゃなかったロビンⓂ︎様(ミエミエのつまらないギャグ)皆々様
お疲れ様でございました。
前半の要といわれる第3走者のお努めお疲れさまでした。
五味様の後を、どう展開するか楽しみにしておりました。
さすが、「やる時はやってくれる。頼もしい存在」と読みながら拍手をしておりました。
後半の入りまでには、学園の創立期に言及する必要性がありそうかも。と思っていましたから、明治に遡って語られる学園にまつわる出来事。新事実。大神家とウィルソン家との因縁めいた関わり。今後は、確執となるのか、融合となるのかは、それぞれの作者様によるところかも知れませんが。
男系家族である理由。学園創立にいたる歴史的背景にまで広げられると、当然ですが、関わる人間も増えてくる訳ですよね。これがまたなんとも魅力的な謎に満ちたキャラたちで。
ワクワクしてきますね。
気水、故人となってしまったマリアの死をとおし、男系家族である理由が語られます。謎に満ちた存在の気水と八島。八島が、美波のストーカーをしていた本当の目的とは?
どんどん内容が深く広く、掘り下げられて来ましたね。
今は、走り終えた充足感と達成感に満たされているところなのではないでしょうか。
そうですね。
二巡目。もしくは、2周目もあり?かも知れませんね。
さすが、今イベント企画の主宰者でもあり、また、長年怖話においてその知名度たるやピカイチだけのことはあります。なんて、上から目線発言で申し訳ございません。
ごゆるりとお休みになり、後続の走者「私が一番やばいかも・・・)の応援をどうぞよろしくお願いいたします。
@五味果頭真 様。
たいへん長い間、ご無沙汰してしまいました。
申し訳ございません。
顰蹙を買いそうな、いえ既に買っている状況で、今更何を語るか!!ですが、やっと野暮用が住み、こちらに来ることが出来ました。ふぅふぅ。
さて、遅ればせながら、多忙な時間を縫って拝見させていただいておりましたが、いやー、これは、なかなか愉快な展開になってまいりましたね。
五味様
第二走者。初体験にして、既にベテランの域に達しておられることに驚愕しておりました。
よくぞ、ここまで、書き込んでくださいました。
トップから破綻もなく、キャラ設定もしっかりと描かれていたため、長さを全く感じさせない展開でした。むしろ、丁寧に描いていただいたお陰で、今後の展開に、奥深さが出てきたように感じます。これは、実に面白怖い作品となりそうですね。
しかも、思春期の男子が抱く感情が表情まで伝わってくるかのようにリアルに描かれていましたね。ここまで、丁寧に書き込んでいただけると、いかようにも「動いて」貰えそうな気がしています。また、彼の家族、身内 にも言及してくれたお陰で、後続の作家さんたちも筆が走りやすくなったのではないでしょうか。いえ、逆に、同展開したらいいのか嬉しい悲鳴を挙げているような気がいたします。
もう、既に、書き終えていらっしゃいますから、ここは、ごゆるりと後続の作家様たちの走りを楽しまれてはいかがかと存じます。
人生で最も短かった一週間。
そんな体験なかなか得られないことと存じます。
おや、お話の展開次第では、二週目もありそうですよ。笑
ゆめゆめ、油断なさらないように。
「ゆめ」の謎もまだ解き明かされてはいませんからね。
それにしても、今回のリレー競作は読み応えがありますね。
@ロビンⓂ︎ 様
お疲れ様でした。
いやぁ、どんどん伏線が増えていって、これは後の走者は大変だぞうwww などと、他人事のように言ってる場合じゃないなあ。
正直、結構、焦っております😸
@ロビンⓂ︎ さん
ダイジェストは、こちらの掲示板に載せておく分にはよいのではないかと思います。
あくまで執筆チームの設定資料として……。
少々バタバタしてまして、拝読が遅れました。ロビン兄さま、まずは第三話投稿お疲れ様でした。
なるほど、そう来ましたか、という感じでした。校長と大神家の関係が早々に固められると、縦糸みたいなものがはっきりしますね。一方で、校長のキャラは謎めいたままでキープしてあり、さまざまな動き方の余地もありそうですから、色んな意味で後続の人にとってやりやすい展開になってると思いました。こういうところが流石ベテランの味、という気もします。気水と八島、各々のエージェントキャラも、出てきたばかりですが、何か色々やらかしてくれそうな匂いもしてきました。何はともあれ、お疲れ様でした!
ロビンⓂ様、五味果頭真様
ありがとうございます!自分らしさを持ちつつ、スリルのある展開を描ければと思います!それでは第四話完成まで暫しお待ちくださいね (^ω^)
rano_2 様
僕は散々自分の書きたいように書いてしまったので、偉そうなことは何も言えませんが、ロビン様の言うようにどうか自分らしく書いていただきたいと思います!第四話を読むのを楽しみにしてますが、あくまで体調優先で、頑張ってください!