第4回「コロナをぶっ飛ばせ!」 2021秋のリレー怪談 スタート!!
◯小説の形式及び登場人物
2021、11月21日現在
舞台;私立鳳徳学園高校;明治時代に建てられた地方の進学校。元は男子校であったが平成に入り共学制に。
旧校舎には時計塔あり。ロンドン塔によく似ている。 敷地内の一角に英国人墓地と併設して礼拝堂がある。
主人公;秋永九十九(あきなが つくも)。ごく普通の男子。部活は未定。残りの書き手さんに任せます。
ヒロイン;甘瓜美波(あまうり みなみ)、転入生。すらりとした体系のボブカットの美少女。背は高め。周囲に溶け込む気が余りないが敵は少ない。悪夢の中で主人公に会う。父の都合で引っ越してきたことになっているが、実はストーカー被害に悩まされていたことが原因。
甘瓜花波:甘瓜美波の母。鳳徳学園の新米英語教師。
因みに甘瓜家の家系。
雪波→月波→花波→美波。
校長;ロビン・ウィルソン。片言の日本語を話す英国人。顔の怪我を隠す為に半分白い仮面で覆っている。あからさまに怪しすぎてかえって怪しまれない。ニックネームは便器。
マリア・ウィルソン:故人。ロビン・ウィルソンの娘。
大神遊平の元妻であり、大神遊輔の母親。
八島弘:ロビン・ウィルソンの側近。
大神遊人:大神遊輔の祖父。
大神遊平:大神遊輔の父。妻はロビン・ウィルソンの娘、マリア・ウィルソン
オカルト研究部部長・大神遊輔。金色の目を持つ。甘瓜みなみにフラれる。狼一族とヴァンパイ◯一族のハーフ?※超難関キャラw
気水百香:大神家に仕える鳳徳学園の教員。
護摩堂アキラ:鳳徳学園生徒会長。自信が秀才である事に自負を持つ、完璧主義者。 生徒会長の権限として、彼だけが校長との面談を許されている。 八島の存在に疑問を持つ。
沢カレン:鳳徳学園二年。オカルト部の幽霊部員。今どきのギャル風女子。好奇心旺盛。体育は嫌い。放課後はデートと称したパパ活。
ユウタ:沢カレンの中学の同級生
月島聖良(つきしませいら)……進路に悩む鳳徳学園の2年生。甘瓜美波の母、英語教師の甘瓜花波と親交を持つ。魔夜中に取り込まれノイローゼになり入院。その後、学園の旧校舎から身を投げる。生死は不明。
日本生まれの日本育ちで和食党だが、曾祖母が英国人のため瞳は碧眼。曾祖母はロビン・ウィルソンの父の、姉にあたる人物。
麻希子……聖良のことを「セーラ」と呼ぶ友人。普段はいい加減だが、友だち思い。聖良にトドメを刺す。
時系列は以下の通り。
・約20年前。2001年頃。甘瓜花波とマリア・ウィルソン、鳳徳学園に在籍。教師になる夢を語り合う。
・鳳徳学園卒業後、ふたりとも学生結婚をし、大学を中退。花波は美波を、マリアは大神遊輔を出産。マリア死去。
・約10年前。2011年(美波、遊輔は小学生)。英語教師として赴任してきた花波と、月島聖良が出会う。
ふたりとも魔夜中に取り込まれ、花波の魂は八島の手中に落ちる。聖良はノイローゼになり、文化祭の前後に旧校舎から身を投げる。
・現在。2021年。魔夜中の中で、聖良と護摩堂アキラが出会う。
魔夜中;悪夢の中を指して甘瓜美波がつけた呼称。
魔夜中に持ち込めるもの;ない。だが鬼火の怪人(ジャック・オランタン)を倒せるものは夢の中にも存在する。英国人墓地、といえば○○が埋まっているはず。ただこの〇〇を使うかは残りの走者次第。
◯リレー順および〆切り(※順不同・敬称略)
第一走者:ゴルゴム13(掲示板〆:10/9 23:59/「怖話」投稿予定:10/10)
第二走者:五味果頭真 (掲示板〆:10/16 23:59/「怖話」
投稿予定:10/17)
第三走者:ロビンⓂ︎ (掲示板〆:10/23 23:59/「怖話」投稿予定:10/24)
第四走者:rano_2 (掲示板〆:10/30 23:59/「怖話」投稿予定:10/31)
第五走者:あんみつ姫(掲示板〆:11/6 23:59/「怖話」投稿予定:11/7)
第六走者:一日一日一ヨ羊羽子(掲示板〆:11/13 23:59/「怖話」投稿予定:11/14)
第七走者:綿貫一(掲示板〆:11/20 23:59/「怖話」投稿予定:11/21)
第八走者:珍味(掲示板〆:11/27 23:59/「怖話」投稿予定:11/28)
第九走者:車猫次郎(掲示板〆:12/4 23:59/「怖話」投稿予定:12/5)
第十走者:ゲル(掲示板〆:12/11 23:59/「怖話」投稿予定:12/12)
○ 控え走者 (およびリレー順希望)
・ふたば
□物語の形式
①「前半オムニバス+後半なぞとき」
メインキャラ5人(前後)分の導入となるオムニバスを4~5話続けて
残り7~8話+エンディングで、たっぷりと謎解き(および恐怖体験)。
②「途中オムニバス」
主人公視点で物語が進んでいく途中途中に、主人公以外の視点で語られる話がある、という形式。
⇒(意見)まあこれについては、いざ始まってみたら自然に決まるかもしれませんね。。
□最終話について
①合議制で内容を決め、代表者1名が執筆を行う。
②マルチエンディング →その場合、複数の希望者がそれぞれ結末を用意する。
⇒①をトゥルーエンド、②はアナザーエンド(ifのエピソード)とするなら、両立するかもしれませんね。
□タイトル 候補
タイトル候補;魔夜中の殺人鬼、魔夜中の狩人、鬼火の狩人、鬼火舞う学園、鬼火の牢獄、鬼火舞う牢獄、旧校舎に鬼火舞う刻、魅惑の旧校舎~紅蓮の狩人。
・放課後の獄舎 ~転校生と鬼火の狩人~
・ミッドナイト・パーティー
・神無き月の狩人
・Faceless sneaker(顔のない 忍び寄るもの)
○現在までのダイジェスト(綿貫様まとめ)
2021.10.16 現在。
■第一話(秋永九十九)
□シーン1 悪夢の中
九十九が、どことも知れない建物の中を歩いている。
建物の1階で、頭部が縦長のカボチャのような、背の高い、謎の人物に遭遇する。
男の手には紅蓮の炎をまとう、大ぶりの鎌が。
男の背後には制服姿の少女の死体があった。
ガツンという衝突音とともに、悲鳴が響く。男の背後にもうひとり誰かがいることに気付く。
□シーン2 学校/教室の外
九月下旬。十月末に行われる文化祭に向けて、学校中が盛り上がりつつある。
転校生の甘瓜美波が、九十九に話しかけてくる。
美波は親の都合で九月に転入してきたばかりだが、その美貌とふるまいから、当初は注目を集めていた。
しかし、オカルト研究部部長・大神遊輔のラブレターを破り捨てた事件で、「甘瓜さんは甘くない」と噂が立ち、今では男女ともに彼女から距離をとっていた。
そんな孤高の美少女に話しかけられドギマギする九十九であったが、「昨日、夢を見なかった?」という美波の言葉に戸惑う。
美波は九十九をある場所へと誘う。
□シーン3 旧校舎
美波は「あなたの見た夢の場所は、この旧校舎である」と告げる。
たしかに窓の外に見える時計塔に覚えがあった。
「校内に礼拝堂と英国人墓地があるのを知ってる?」
「私は昨日、殺されかけた」
次々と謎の言葉を紡ぐ美波。
聞けば、紅蓮の鎌を持った化け物―ジャック・オー・ランタン―に、廊下の突き当りで殺されかけたのだという。
それがただの夢でない証拠にと、美波は首の付け根に現れたミミズバレを見せる。
夢の中で彼女よりも先に女生徒が殺されたが、美波の調べによると十年前に死んだ生徒であるとのこと。
「あなたも私の夢の中にいたのよ」
ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン、
鳴らずの時計塔が突如鳴り出す。
■第二話(大神遊輔)
□シーン4 自室
オカルト研究部部長・大神遊輔は、先日、甘瓜美波にラブレターを出したものの、ビリビリに破かれ玉砕。そのことを校内の裏サイトにもさらされ、ショックから不登校になっていた。
悪夢を見て飛び起きる遊輔。手元の時計はPM4:44を示している。
夢の内容を振り返り、気になることが出てきた遊輔は、それを確かめるため学校に行くことにする。
□シーン5 祖父の部屋
出がけに祖父に呼ばれ、父とともに祖父の部屋に。
不登校を責められるかと思いきや、
「そろそろ文化祭だ。文化祭といえばなんだ?」と謎の問いをされる。
祖父も父も遊輔の通う高校のOBだが、私立鳳徳学園は元々は男子校で、また時代柄男女交際のチャンスなど文化祭以外になかった、と告げられる。「恋愛については奥手な家系だ」とも。
大神家には遊輔の物心がついた頃から、すでに祖母・母親の姿がなかった。
□シーン6 旧校舎①
遊輔は、美波に惹かれた原因のひとつは「甘い香り」であると考えていた。
学校に到着すると、悪夢に見たであろう旧校舎へと向かう。
現場に着いて、場所の確信を持つ遊輔。
彼は悪夢の中で、美波が何者かに襲われるのを見ていた。
□シーン7 旧校舎②
遊輔は旧校舎で美波と九十九の姿を目撃し、逢引きであると思い込む。
九十九に首筋を見せる美波に、嫉妬から正気を失う遊輔。
思わず走り出し、旧校舎の裏側、英国人墓地へと足を踏み入れる。
遊輔は旧校舎に、美波とは別の魅惑的な香りが漂っていたことに気が付く。
墓地には、誰かが掘り返したような跡があった。
墓穴の中にはあるべき棺桶の存在はなくなっていた。
頭上の空を大きな鳥のような影が横切る。
空に浮かぶ真っ赤な満月を見て、自分の身体が大きくなり、全身を毛が覆いつくす感覚を得る遊輔。
その時、突然鳴らずの時計塔が鐘を鳴らし始め、それにあわせ、遊輔は吠えた。
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綿貫先生、後続の方に便利かなとおもい、解説欄に綿貫先生に作って頂いたダイジェストを載せていますが、ネタバレという点では、やめておいた方がよろしいでしょうか?
ラノお姉様、大丈夫です。
上から目線みたいで恐縮ですが、これはリレー小説ですので前走者の作風に寄せるのではなく、多種多様の色があった方が絶対に面白いと思います。これはお祭りですし力を抜いて、楽な気持ちでラノお姉様の色を存分に出してください!…ひひ…
串山様、なんともお優しいお声がけベリーサムシングエルスです!
いやあ、投稿してからも皆さんの反応が薄かったので、やっぱりやっちゃったかな?と、スマホの前で二十四時間耐久正座をしていたのですが、やっと足を崩せそうです…ひ…
皆さま、ご無沙汰しております。
この度ロビンⓂ様から第四走者の指名をいただきましたrano_2と申します。
壮大な物語の一手を担うのは初めてでして…とてもドキドキしています。書き手の皆様の表現力、構成力、そして意表を突く話の展開。こんなにスリルがあるとは、心が震えております。
頑張ります!
ロビンⓂ︎さん、リレー怪談第三話の投稿お疲れ様です。
ロビンさんのおふざけありの怖い話も素敵ですが、おふざけなしの怖い話もとても素敵でした。
良い人悪い人がはっきりしてきましたね。「悪い」とはいっても校長先生の心情を思うと、なんだか可哀想な気もします。
もちろん大神家のみんなもおんなじくらい、辛い気持ちを抱えてると思います。
この先、どういう展開になるのか楽しみですね。
短い感想で申し訳ありませんが、改めてお疲れ様でした。
ふふふ。綿貫先生が後ろでドッシリと構えてくださっているので、安心感がハンパありませんね…ひひ…
このお話がまさか、貞子を彷彿とさせる純ジャパニーズホラーに変貌していくとは!!
@ロビンⓂ︎ さん
あら?時を戻すんですか?
……それもいいだろう。
ほ、ほんとだ!時系列的に少し離れすぎてました!
すみません!九月下旬に時を戻しておきます…ひ…
@ロビンⓂ︎ さん
第三走者お疲れ様でした。
大神家とウィルソン家という、超常の一族同士の因縁が語られましたね。遊輔くんは大神家とウィルソン家、双方の血を引く存在ということで、重要度もぐっと上がりました。
続きが楽しみです。
気水先生の夢が語られるのが十月二十日。
九十九と美波、遊輔が旧校舎で初めて邂逅した九月下旬から、少し時間がたった時点での独白になると思います。
この間に一体どんな事件が起こっていたのでしょうか。
第四走者様を始め、後続ランナーの頭を悩ませそうですね。
とにもかくにもロビンさん、お疲れ様でした!
ゴルゴム先生お久しぶりです。
おそらく皆さまのご期待にそえてないとは思いますが、まだ序盤ですので、後続の頼もしい勇者様たちであればなんとかしてくれると信じ、今後の展開を楽しみにしたいと思います。でももし物語が大幅に延びそうであれば、二周目もあるやも知れませんので、まだまだ気は引き締めていきたいと思っております!…ひひ…
さて、僕のタスキを受け取ってくれる方はどう致しましょうか?もし、明日の昼までに名乗りがないようでしたら、ラノお姉様にお願いしようかな?なんて思っておりますが…ひ…
@ロビンⓂ︎ 様
第三話お疲れ様です。
遊輔君の祖父・父がいい人そうで良かったですね。校長は〇〇〇かも知れない訳ですね。しかも大神君の血縁者だったとは。しかし校長にとっては憎たらしい男の息子であり、愛娘の血も引いているということで複雑な思いがありそうですね。新登場の八島弘と気水百香もいい塩梅に絡んできそうです。この二人は後半で活躍しそうですね。特に八島は何考えてるのか分からない感じが後の布石にもなりそうです。
呪いがかけられたのはいつがいいのか。どうでしょうね。僕は明治でいいと思います。
創設期に大神家から多額の寄付があったということは、話の都合上特に問題にはならないかと思います。
カラスについては後半への導入部と言うことでいいんじゃないでしょうか。細かいですが、ロビンとウィルソンの間に・を入れた方がいいかと。
ここから先は学生があと三、四人ほど登場し、魔夜中のリアル鬼ごっこで一人くらいは死んだ方が緊迫感が出るかも知れません。過去にも繰り返されてきた『魔夜中』事件の謎解きはさらにその後になるのが理想かと思います。
次の走者はどなたになりますかね。
五味お兄様!お優しい言葉をサンクスです!
誤字のご指摘もありがとうございます!
さて、皆さん。僕が考えた設定なんですが大丈夫でしょうか?…ひ…
もし、これはやめて欲しいとか、こうして欲しいというのがあればご遠慮なくお願いします!
明日まではラストスパートをかける覚悟は出来ておりますので。
自分的に気になっているのは、呪いがかけられたのを明治ごろとしましたが、もっと昔、もしくは元々そういう一族だった方がよろしいでしょうか?
あと、高校の創設にあたり大神家が莫大な金額を出資したとありますが、ちょっと何言ってるかわからないほど無理がありますか?…ひ…
あと、カラスの正体を明かすのは早すぎましたか?
今ならまだ多分間に合いますので、ご意見、ご要望があればよろしくお願いします!
@ロビンⓂ︎ 様
長くなってしまったので2つに分けました。最後に誤字かなと思った箇所がひとつだけありました。
私は五年前からこの学校にいて、当時、校長として不妊してきたロビンウィルソンの動向を監視している。
不妊→赴任
もう一度読み返していたのですが、ロビン様って会話の使い方がめちゃくちゃ上手なんですね!場面が次々に進んでいくテンポの良さと、会話の中で話の設定やキャラの特徴を読む人に伝える表現力が、個人的には羨ましいなと思ってしまいました。最初は違和感なくすらすらと読んでいたから特に思わなかったのですが、違和感なく読めるのってすごいことなんだと改めて思いました。さすが兄貴って感じです!笑
あと、珍味様に提案していただいた「タグ」という機能について、さっきようやく理解いたしました…(ハッシュタグとかいろいろ調べてたんですが、このサイトの機能としてあったんですね!)。ゴルゴム13様のに倣って、今日中に僕の話にもつけたいと思います!
ロビン様、お疲れさまでした!最近朝晩が寒くなってきて、ラーメンがもっと美味しい季節になってきました。寒暖差や多忙で体調崩されないよう、ゆっくりとお休みになってください。
@ロビンⓂ︎ 様
1週間お疲れさまでした!抽象的でめちゃくちゃな設定ばかり書いてしまったと反省してましたが、ロビン様に謎解きへの導入となる要素同士のつながりを具体的にしていただき、正直救われる思いです…。ありがとうございました。
特に、遊輔の母がイギリス人であること(日本人でないこと)や掘り起こされた墓の中身について後続の方に丸投げだったのを、ゴルゴム13様の裏設定の時点で気になっていた校長とうまく関係させていたのが目をひきました。第三話にして悪役登場!って感じですが、しかしマリアとウィルソンにも何か物語がありそうで、完全に悪役とは言えない雰囲気が個人的にそそりました。僕が遊輔を完全に闇堕ちさせられなかったのも、人には良い部分と悪い部分や、光の部分と影の部分があってもいいと思ったからで、ロビン・ウィルソンもそのような裏表ある、今後が気になる魅力的なキャラに思えました!
また、気水と八島という外部的な人たちの参戦も、この文章の長さでうまく特徴づけられてるのはさすがロビン様だと思いました。特に気水を第三話の主人公(語り手)にするのは勇気がいると思いましたが、ここまでの出来事や設定を客観的に把握させてくれるので、読者としてとてもありがたい存在なのではと思いました!
いやあ、自分的には悔いの残る走りをしてしまいました。
一応、おふざけだけは封印する事に成功しましたが…ひ…
結局、主人公も全く動かせませんでしたし、謎展開にしてしまったかもしれません。
せめて、最後にもうひと展開したい徒頭をひねってみましたが、今の僕には無理でした…うう…後続の方々本当に申し訳ありません!
第三話
同じ日の夕刻、大神家に一本の電話が入った。
大神遊人(おおがみゆうじん)は、電話の相手と何やら深刻な話をしている。
「…そうか、わかった。そろそろだとは思っていたが、よりにもよってあの場所でとはのう。くれぐれも他の生徒や教員などには見つからんように、なんとか上手く眠らせてここまで運んでくれるか?頼んだぞ気水」
遊人は受話器を置くと、真正面に座る遊平に向き直った。
「お父様。遊輔が?」
「ああ、墓地でな。遊輔は学校で何かを見たのかも知れん。ワシもお前もそうじゃったが、何かよほどの事でもない限りあの姿になる事はまずない。遊輔が学校を休みだしてから何か怪しいとは思っておったが…」
「まさか、マリアの墓に気づいたんじゃ?」
「うむ、それもあるかも知れんがの」
父、遊人はここ最近、遊輔の事を気にかけていた。
父も私も、自分が狼一族の末裔だと知らされたのが、ちょうど今の遊輔の年頃だったからだ。
思春期の血がたぎるこの時期に、大きなショックを受けたり、私たち一族が好む魅惑的な匂いを発する異性に出逢ってしまうと、自分の意思とは関係なく発症してしまう。
発症という表現が適切かどうかはわからないが、少なくとも私たち一族の誰もが望まない症状なのは確かだ。
赤い満月を見ると体が狼に変化するなんていったいどこの誰が望む?望むわけがない。
父が言うには、これは明治ごろに我が一族へかけられた呪いだと云う。
「遊平、気水が言うにはマリアの墓が掘り起こされていたらしい。おそらくあの校長の差し金だろうが、遊輔ももうしっかりと鼻の効く年頃じゃ。あの墓にマリアの匂いを感じたのかも知れん」
「校長?校長がなぜ見ず知らずのマリアの墓を掘り起こすんですか?」
「ん?おお。おまえには校長が誰かまだ話しておらんかったか。今現在の鳳徳学園校長はロビンウィルソンだ」
「ロビンウィルソン?!」
私は心臓をえぐられた気がした。
ロビンウィルソンとは、私の元妻、マリアウィルソンの父だ。
遥か昔、私がこの血筋だと気づいた時、父、遊人は言った。
「ワシら一族にかけられた呪いは何代続くかもわからん。せめて血を薄め続ける事により、この先、我が子達への呪いは少しでも薄まるやも知れん。よってワシは日本人同士で子をつくるよりは、別人種との子をつくる事を選んだのじゃ」
父はそう言って、私が一度も見たことの無かった母の写真を見せてくれた。
母は、イギリス人だった。
そしてこの時、母の死についても話してくれた。母は私を産み落としたと同時に亡くなっていた。
私たち一族の血を体に宿したものはその時点で死へのカウントダウンが始まり、子を産み落とした時点で死ぬ。つまり、大神一族には代々、女性は生き残れない運命なのだ。
私はそれを知って、日本人を妻にするのは諦めざるをえなかった。
そんな私がマリアと知り合ったのは二十歳の時だった。英会話講師をしていたマリアは私たち一族と似た魅惑的な匂いを放っていた。
日本の女性を避け、周りからは奥手で度胸のない男だと思われていた私が、彼女は逃がすまいと、日々猛烈なアピールを続けた。
その甲斐あってか、マリアは私の気持ちに応えてくれた。
しかし、この結婚に断固反対したのは、マリアの父、ロビンウィルソンだった。
ロビンウィルソンはあの手この手で私たちの邪魔をして別れさせようと仕向けた。
しかし、もうその頃、マリアの身体の中には遊輔の命が宿っていた。
マリアは誰も知らない街で遊輔を産み落とし、そして、マリアは私の手を握り、涙を流しながら死んだ。
私はこうなる事を知っていながらマリアに子を産ませたつもりだったが、マリアは初めからこうなる事を知っていたような口ぶりだった。
最後の最後までマリアは私と遊輔の事を心配した。
父は必ず大神一族を滅ぼしにかかるから、どうか遊輔を安全な場所に逃がしてくれと、マリアは息を引き取るまでそう繰り返していた。
私は父、遊人の決めた場所で遊輔を育てた。
だが、遊輔が三歳になった時、ロビンウィルソンは私の前に姿を現した。
ロビンウィルソンが私から遊輔を奪おうとした時、奇しくも空には赤い満月が浮かんでいた。
私は恐怖に慄くロビンウィルソンの顔に、呪われた爪を振り下ろした。
ロビンウィルソンは殺意に狂う私と遊輔を置いて、仲間の手を借りてすぐにその場を去った。
私は残された出血の量からして、ロビンは死んだと思っていた。
父、遊人もロビンウィルソンは死んだと私に言った。だから、私はロビンウィルソンがまだ生きていて、更に、遊輔の通う高校の校長だったとはにわかに信じられなかった。
「ワシの父も、ワシもお前も代々、鳳徳学園を出ておる。その理由はその昔、ワシらのご先祖さまが莫大な出資をしてこの学校を建てられたからじゃ。
それぐらいの情報はロビンウィルソンの耳にも入っておると思い、遊輔が入学してからはずっと気水に目を光らさせておったんじゃが」
「お父様、ロビンウィルソンはいつから鳳徳学園の校長を?」
「たしか、五年ほど前からじゃ。じゃが、マリアの墓があの学校の墓地に入ったのはもっと前。気水が言うには、マリアが死んだ翌年からじゃから、もう一五以上はあの墓があるという事になる」
「気持ち悪い。ロビンウィルソンはいったい何を企んでいるのでしょうか?娘の復讐をするには手がこんでいるし、時間が立ちすぎている」
「うむ。あやつは何が別の形でワシらに復讐しようとしているのかも知れん。
マリアを別の場所に移したのにはなんらかの理由がありそうじゃ。この後、またマリアの棺を戻すのか、それとも違う誰かの…」
…
気水百香(きすいももか)
これが今の私の名だ。
もちろんこれは本名ではなく、大神遊人様からこの学校に教員として潜り込むためにつけていただいた名前にすぎない。
私は、いや、私の先祖は明治以前から大神家に仕えてきた家系だ。
私は五年前からこの学校にいて、当時、校長として不妊してきたロビンウィルソンの動向を監視している。
遊輔くんがいずれこの学校に入学されるのは決まっているだけに、遊人様にはどんな些細な情報も漏らさず報告してきた。
だが、このロビンウィルソンという人間は謎に満ちていた。
顔の半分を白い仮面で隠しており、日中はほとんど生徒の前に姿を見せない。
全校朝礼などは全て放送を通して行い、その内容も明らかに誰かが用意したものをただ読み上げているにすぎなかった。
毎日、校長室には出勤している様子だが、ほとんど外には出てこず、雑用などは全て側近ともいうべき八島弘(やじまひろし)という男が行っている。
八島は教員でもなんでもないのに、なぜか学校の出入りを許されていた。
私はこの八島という男を調べた。
少ない情報からわかった事は、八島は私と同じように、親の代からロビンウィルソンの親族に仕えてきたらしかった。
八島は神経質そうな男で、校長以外の人間にはにこりともしない。私が話しかけても、最低限の返事を返すだけだ。
あと、何かの病気なのか、八島の目は赤い。その目に見つめられると身震いがするほどに。
それは校長の片方の目と同じだった。
そんな八島の動きがおかしいと気づいたのは、九月の初めだった。
ある一人の女子生徒をまるで監視でもしているかのようにつけ回していた。
その生徒の名前は、甘瓜美波(あまうりみなみ)
つい最近、都内から転入してきたばかりだ。
私は何か気にかかり、知り合いを伝って調べてみた。すると甘瓜美波は前の学校でストーカー被害にあっていたと知った。
しかも、その時に警察がマークしていた人物は、八島弘だった。
それがロビンウィルソンの差し金なのかはわからない。でも、私は彼女がこの学校に転入させるよう仕向けたのは八島ではないかと感じた。
なぜ、私がこんなに甘瓜美波に興味があるのかにはもちろん理由がある。
それは、遊輔くんの甘瓜美波に向ける目が異常だったからだ。
遊人様にその話を伝えると、返ってきた言葉は二つあった。
一つは、甘瓜美波が大神家と同じような獣の血を持っている可能性。もしくはそれと似たような特殊能力を持っている家系。
二つ目は、私の推測どおり、八島はロビンウィルソンの指示で、甘瓜美波をこの学校に呼び寄せたのは間違いないだろうという事だった。
遊人様は、甘瓜という名字に何か引っ掛かられたようで調べてみると仰った。
十月二十日。
私は夢を見た。
それはとても恐ろしい夢だった。
普通、夢と言えば断片的にしか思いだせないがはっきりとおぼえている。
薄暗い廊下の向こう。私の目の先にやたらと大きな男が立っていた。男の周りにはいくつもの火の玉が浮遊していて、男の手には紫色の炎を纏う、鋭利な鎌のような物が握られていた。
男の目の前には鳳徳学園の制服を着た女性徒がいる。
南瓜に似た異様なマスクを被った男は、いまにもその女性徒に襲いかかりそうな殺気を放っていた。
男が鎌をゆっくりと振り上げた時、男の後ろ側に女性徒がもう一人倒れているのが見えた。
全く動かない。もう死んでいるのか。
ゴポゴポと赤い血泡を口から垂れ流し、男から必死で逃げようとする女性徒と私の目があった。
甘瓜美波だった。
「いやーーーー!!!」
彼女のその口からもの凄い絶叫が上がった。
と、同時に、窓の外からそれに負けないくらいの大きな轟音が私の視線を奪った。
今は鳴らない、鳴るはずのない時計塔。
それは私が毎日のように学校で目にしている時計塔。ここが今は使われていない旧校舎だとすぐに気づいた。そして、私の見ているこの景色が鐘が鳴るたびにどんどんと歪み始めた。
目が覚めた時、私はあまりにも生々しいその余韻に震えが止まらなかった。
私は窓から見えるどんよりと曇った空に、数羽のカラスが飛んでいるのを見た。
でもそれが、ただのカラスではないとすぐに気づいて、急いで窓辺へと駆け寄った。
そこには明らかに背中に羽の生えた黒い人間が空を飛んでいた。私はまだ夢を見ているのかと、何度も自分の頬を叩いた。
しかし、それが鳳徳学園に向かって飛んでいるのだと気づいた時、私はまた別の胸騒ぎをおぼえた。
甘瓜美波、遊輔くん、八島、そしてロビンウィルソンの顔がぐるぐると頭を駆け巡る。私は居ても立っても居られず、急いで学校へと向かって走ったのだった。
第三話 了
ゴルゴム先生、そう言って頂けると幾分ほっといたします!しかし、結局ぶっ込んだ割にはあまり進展できませんでした。自分の想像力の無さにもう笑いが込み上げてまいりました…ひ…
すみません。明日ですが、掲示板へのアップは夕方ごろにさせて頂きたい思います。最後にもう一踏ん張りしてみます…ひひ…
@ロビンⓂ︎ 先生
先行の考えてなかった話が出てくるのがリレー小説の醍醐味ですから、好きに暴れ回ってください。後続の方が何とかしてくれます。(キリッ)
@ロビンⓂ︎ 様
そうっすね。もしよろしければ。
珍味お兄様。ほんとですね!
了解しました。僕も本作アップの際にはタグをつけたいと思います。
解説欄にも書いときましょうか?