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短編2
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青池の大蛇伝説

静岡県藤枝市、国道1号線沿いに『青池』という小さな池があります。

今回は、その池に纏わるお話をします。

昔も昔、八百年程昔のお話。

粉川長楽斎という長者が藤枝におりまして、妻と一人娘の三人で幸せに暮らしていました。

娘の名は賀姫といい、大層器量の良い子に育ちました。

ある日、長楽斎のもとに一人の青年が現れ、賀姫を嫁に迎えたいと告げます。

青年は幾日も宅を訪れ、あの男は何処から来るのだろうと不思議に思った長楽斎は、青年の上掛けにそっと糸を付け、後から糸を追いました。

なんと糸は岡出山を越えた先にある青池に通じていたのです。

青池の大蛇が青年に姿を変え、賀姫を我がものにせんと狙っていると気付いた長楽斎でしたが時既に遅し。

賀姫は青池に引きずり込まれてしまいました。

悲哀と憤怒収まらぬ長楽斎は、青池に焼き石を投げ入れ溶かした鉄を流し込み池を煮立たせ、大蛇を殺してしまいました。

長楽斎は、賀姫の供養と池の地鎮の為に我が屋敷を壊し寺を建立しました。

長楽寺というお寺が現在もあり、その裏手には大蛇が通ったとされる細い道筋が確認出来ます。

私が子供の頃は、玩具のような釣具セットでも鮒やウグイ、オイカワなんかが沢山釣れる、自然溢れる池でした。

が、近年は何処かの浅はかな人達の仕業により、外来の大きな雑食魚や見たことの無いような色の蛙などに支配されています。

そして2年程前、信じられないような事故(事件?)が起きてしまいました。

女の子が池の畔で遊んでいると、何処からともなく現れた大蛇に襲われたのです。

大蛇の長く太い胴体で全身を絡めとられているところを発見されたのですが、なかなか二者を離す事が出来ず、そうこうしているうちに女の子の体中からバリバリと骨の砕ける音が響いたそうです。

大蛇の頭を石で潰してなんとか女の子を救出したのですが、残念ながら手遅れだったようです。

大蛇の正体はアミメニシキヘビといい、体長8メートルもあったと新聞の記事にありました。

現在、青池周辺は整備され、青池公園なる憩いの場も在ります。

が、噂によると青池そのものは近々埋め立てられ、公園の方が拡張されるようです。

昔の面影が全くなくなってしまった青池を見て、長楽斎や賀姫、そして伝説の大蛇は何を思うのでしょうか。

今日も長楽寺の鐘の音が夕闇に響き渡るのでした。

怖い話投稿:ホラーテラー ジロウさん  

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