私はこの春、京都の大学に入学しました。
入学してしばらくした頃、ある人と出会いました。
サークルなどの関係で知り合った、私より2歳年上の男性。その人の名前を以下Nさんとします。
Nさんは外見がちょっとホストみたいで、はじめはなんだか恐くて敬遠していましたが、内面はおとなしく、時々ふとギャグを呟いたりして、周りからは天然だと言われていました。
皆とは違う雰囲気があり、一匹オオカミっぽい魅力を感じる人でした。
そのうち頻繁にメールをするようになり、その落ち着いた雰囲気から、色々な事を話せるような頼れる存在になりました。その時に聞いたある話です。
「俺な、子供んときから人の後ろに人が見えんねん。」
と、Nさんは言いました。
冗談を真顔で言ったりする人なので今回もそれかな?と思いましたが、何となくそうではないと感じ、うん、と返事をして続きを待ちました。
「例えば人混みの中歩いてるやろ?たくさんの人とすれ違うときにその人にピッタリもう一人くっついてるのが見えんねん、時々やけどな。人混みやから、そこら中でくっついてんねやんか(笑)」
こういう類の話なんて、それこそこのサイトぐらいでしか知らなかった私にとって、身近でそんな体験を持つNさんの話はとても興味深いものでした。
「でもな、直視は出来やん(出来ない)。たとえば、ある一点だけ見てるつもりでも、視界にはその周りの光景がなんとなく見えてまうやん?そんな感じで、直接バッチリは見えやんけど、視界の隅では見える。」
ほぉ~と聞き入ってしまいました。そして、質問。
私:「後ろにくっついてる人ってどんな格好してるの?」
平安時代の貴族のような人、とか鎧を着たお侍さん、のような答えなのかなと思っていましたが、
「普通やで(笑)若い人やったり、老人やったり、年代は色々あるけど。」
そうなんだ、と私。
「でもな、だいたいその後ろの人、なんか知らんけどびっくりした顔してんねん。目は見開かれて口も開けて『アッ!』て感じ。
不思議やったしおばあちゃんにその事言ってん。そしたらな、びっくりした顔の人は、悪いことして地獄に落ちた人やねんて。別にその人にくっつかれたからって地獄につれてかれる訳ではないとは思うけどな。」
ちょっとだけ怖かったのですが、思い切って聞いてみました。
「じゃぁ、私にもなんかくっついてる?」
う~んと唸ってNさんは私の後ろの壁を見つめました。
・・・・・
「まぁなんかおるで。」
脅かすわけでもなく、涼しい顔をしてNさんは言います。
怖くなった私に向かって
「どんな人にもおるで。○○(私の名前)ちゃんのはあんまはっきり見えんけど、誰だってなんかくっついてるし、大丈夫やで。」
それから別の話になりましたが、霊感みたいなものが全くない私にとってはとても新鮮な話でした。
まぁ、Nさんとは色々とあって今はほとんど連絡をとっていませんが(笑)、街の人ごみのなかを歩くときは時々この話を思い出します。
他の投稿話のように皆様を怖がらせるような話でなくて申し訳ないです。
でも、ただ人がくっついてるというのではなく、「驚いた顔」というのが興味深かったので、投稿させていただきました。
ここまで読んでいただき、感謝しています。
ありがとうございました。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話