ある日のこと普通に街中を歩いていた。
すると派手な格好をした、恰幅のよい中年の女性が前から歩いて来るのが見えた。
なぜか私は目を逸らした。
『ねぇ、あなた…(会社名)の人でしょ?』
知らないおばさんだったが同じ会社の部署違いらしい、向こうは私を知っているようだ。
「はぁ…」
『こんなこというと、変な人と思われるかもだけど…
…憑いてるわよ』
「は?何がです?」
『女よ…。若い女』
始めは、意味が分からなかったが、怪しげな宗教団体の名刺を見せられ理解した。
「…なにも、見えませんし、私はそんなことは信じてませんので…。では…」
堪らず去ろうとした。
だが、
『行ったでしょ?ダム(某心霊スポット)』
確かに行った。
二週間ほど前に友達と。
「…なぜ知ってるんですか!?」
少し強い語気で聞き返した。プライベートを知られていた事実に憤りを感じたからだ。
だが、その質問を意にも介さず中年の女性は続ける。
『払った方が良いわよ』
「だから、私には何の害も無いですし、必要ありませんよ!!」
『害があるのは、あなたじゃないわよ!!
憑いてきてしまった女の子の方よ!!
“生理的に受け付けない”
って私に泣き付いて来たの!!
遊び半分で、そんな所に行ってはダメ!!』
「………」
二度と心霊スポットには行くまい…と思った。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話