仕事で遅くなった。
街頭の無い道を自転車で駆け抜ける。
自宅に着いたら、夫はすでに眠りに就いていた。
簡単に食事を済ませ、そそくさとシャワーを浴びる。
横にいる夫におやすみなさいのキスをして眠りに落ちた・・・
・・・・
なんだか外が騒がしい?音も無く窓から入る赤色灯の光。
音が無いのにやけに騒がしい。これは、胸騒ぎ?
沈黙を切り裂く携帯電話の着信音。夫の携帯。
私は夢うつつでそれを聞く。
静けさの中電話の向こう側から聞こえる声。
「夜分に失礼致します。□□警察の者ですが、○○さんですか?」
「はい。」
「確認したいことがありまして、今ご自宅の前に来ているのですが、ご在宅でしょうか?」
玄関の扉を開ける夫。その向こうから聞こえる声。
「実は先程、奥様とみられる女性が遺体で発見されまして。。。」
・・・あぁ、そうだ。私はもう・・・
・・・・!!!??
そんな夢を見て跳び起きた。
窓には夢と同じく赤色灯の光。
胸騒ぎがする。
沈黙を破り、携帯の音が鳴る。
私は恐る恐る電話に出る。
「夜分に失礼致します。□□警察の者ですが・・・」
「・・・実は、ご主人とみられる男性が遺体で発見されました。」
!??夫が居るはずのベッドを見る。
誰も居ない。
こんな夜中に外に出たのだろうか?
警察の話は続く。
「詳しく調べないとわかりませんが、おそらく死後数時間はたっていると思われます。」
と、私が帰り着く前の時間を言う。
私がおやすみなさいのキスをした相手は一体誰だったんだろう。
私は、誰も居ないベッドに顔を埋め、泣いた。
最初から主(あるじ)が居なかったであろうそのベッドは、なぜか暖かかった。
怖い話投稿:ホラーテラー 零さん
作者怖話