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短編2
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山姫5

4の続きです。

少し小雨が振り霧も出てきたが、僕らはM岳目差し順調に進んで行った。

するとBが妙な事に気づいた。

B「なぁ‥なんか奥に行くにつれて“しめ繩”されてる木が増えてないか。」

確かにBの言う通りだった。

何か異様な雰囲気で、よく目を凝らすと鳥居やお札の様なものが貼られている立て札もあり、この樹海に何が潜んでいるのかを想像させる光景だった。

C「‥山姫に近づいてるんじゃないか、おれ達。」

A「バーカ、迷信に決まってんだろ?あれだよ、遭難に注意しろって事だよ。」

などとワイワイ話していたが、だんだんと雨も強くなり、かなり寒くなってきた。気づけば誰も言葉など交わしていなかった。木や水、草など、雨に濡れたせいか、たくさんの嗅ぎ慣れていない匂いが鼻を伝って脳を刺激し、クラクラとした。

さらに1時間以上歩くと一際目立つ大木が覗けた。

C「あったぞ!例の大木!」

僕らは小走りで近づき、大木を目の当たりにした。樹齢何百年と聞いていたが、この太さと長さだったらと納得した。

B「すっげぇなぁ~‥。神秘的ってこういうのを言うんだろな。」

僕「うん。想像してたのよりも全然すごい。やられたわ。」

僕らは子供の様にはしゃぎ、写真を撮ったり大木に抱きついたりして、Y島の自然を体一杯に感じていた。

しかし不思議な事に、この人気スポットに僕らの他に人は誰もいなかったのだ。今考えれば妙だったと思う。

そして雨は激しさを増し、霧も濃くなり

C「やばいな、早くこの近くにあるS小屋見つけよう!」

50m程進んだ場所に、S小屋はあった。霧がかって変な雰囲気だったが、僕らはたまらず中に入り避難した。

小屋の中には誰もおらず、小さな囲炉裏とキッチン、ランプがある位の淋しい印象だった。

広さも先ほどの山小屋程ではない。

窓にはカーテンすらついていない。

僕らは中に入るなり、腰を下ろし畳の上で横になった。気づかない内に疲労が溜まっていたようだ。

時計を見ると18時を指していた。

空腹だった僕らは、まずランプに火をともし、囲炉裏で小屋を暖め、持参した缶詰や菓子等を肴に、乾杯した。

しかし疲れていた為、「明日もある」ということで早々に眠りについた。

寝袋に包まった僕らは、囲炉裏の揺らめく炎を見つめながら、いつの間にか深い眠りについた。

これから長い長い夜が始まるとも知らずに‥

6に続きます。

怖い話投稿:ホラーテラー ケンジさん  

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