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中編5
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誰かいる

私、一年前にルームシェアしてたんです。

私を含む女二人、先輩男三人。

五人で一軒家と言うか広いアパートみたいなとこ借りて住んでたんですが。

そこはいわくつきと言いますか、他に立ち並ぶ家と比べて家賃がすごく安くて。

私ともう一人(Aとします)は凄く嫌だったんですけど先輩(B、C、Dとします)は乗り気だったんで仕方なくそこに住む事になったんです。

部屋自体は2階を含め四つあって、2階の右部屋を私とAの部屋。左部屋をBの部屋。

一階の右部屋にCとD、そして一階の左部屋はリビング。そう割り振りを決めたんです。

私『そういえばいわくつきって何なの?』

B『ああ、お前聞かない方がいーよ』

ふざけてばっかりいるBが珍しく真面目な顔したので私怖くて何もきけなくて。

結局不安いっぱいの生活が始まったんです。

最初はそれなりにみんなでワイワイ楽しく過ごしてて、地方から上京してきた私にとって寂しさが和らぐ生活でした。

でも異変が起こったのはそれからすぐでした。

C『俺達遊んでくるけどお前らどーする?』

夜中1時を過ぎた頃でした。

私『Aは上で寝てるし私も疲れてるからいいや』

C『わかった。じゃあ戸締まりしっかりしろよ』

そう言い残して三人は遊びに行きました。

Aは部屋で寝ているし、私はリビングでマンガでも読もう、そう思って一人ごろごろとしてたんです。

…2時頃でしょうか、ふいにトイレの流れる音が聞こえます。

(Aかな?)

そう思ったんですがおかしいんです。

Aが寝ているのは2階の部屋。2階から降りてくるなら必ず階段を降りる足音が聞こえるはず。

(お世辞にも綺麗とは言えない古い家なので)

私怖くなって一目散に2階へ駆け上がって部屋の扉を開けたんです。

やっぱりAが気持ち良さそうに寝ていました。

その日は怖くてAにくっついて寝ました。

後日その話をするとAは言いました。

A『ああ、誰かいるよね』

Aは言わば少し見えてしまう人。

聞きたくない事実を聞いた私は嫌で仕方なかったんです。

B、C、Dは遊びが激しい人達で、女を連れ込むのもしょっちゅうだったし、同時に家にいる時間が凄く少ない人達で、怖いから家に居てよ!と私が言っても聞いてもらえませんでした。

そのあとも物音や扉が思いっきりたたき付けられる音やBの部屋から軋む音がしたりと怪奇現象が後を経ちませんでした。

私、怖くてストレス溜まっちゃって。

見兼ねたAはB達に言ったんです。

A『この家出ようや。やばい雰囲気出てるし』

しかし次の家のことなど金銭面になるとどうしようもなく、解決はしませんでした。

私『大丈夫。我慢するよ』

私が我慢すればいい、私はまだ見える人じゃないから何とかなる。

浅はかな思い込みでした。

一週間後のことです。

Aは一度地元に帰ると言い出し、家を後にしました。

その夜も案の定三人の男共も遊びに行こうとしてたんです。

この家に一人、そう考えただけで冷や汗が出ました。

私『お願いだから今日は誰か家にいて!』

私は必死でB達に頼み込むと

C『わかったわかった、俺は今日家にいるから』

Cが残ってくれることになりました。

B『俺達も女迎えに行ってすぐ帰ってくるよ』

そう言い残し、BとDは遊びに行きました。

私とCはしばらくリビングで漫画を読んだり他愛のない話をしていました。

C『この家そんなに怖いの?』

私『夜中家にいてみなよ!私の怖さ解るから』

その時がちゃっと玄関のドアが開く音がしました。

B『ただいまー』

女『お邪魔しまーす』

BとD、そして金髪ギャル一人と茶髪の綺麗な人、黒い髪の静かそうな人が騒ぎながら2階のBの部屋に上がって行きました。

C『いーなあ、俺も混ざりてえ〜』

私『行ってきていいよ。2階だしこんだけ騒がしければ私も怖くないや』

Cはサンキューと言いながら2階へあがって行きました。

しばらく2階が騒がしくて、煩いながらに私も安堵してました。

夜中2時過ぎ、はっきり覚えています。

リビングで漫画を読みながらウトウトしかけていた私。電気をつけっぱなしでいつも怒られるんですがもう動くことより睡魔が勝ってしまって目を閉じようとしたんです。

すると電気が勝手に消えました。

Cか誰かがトイレついでに様子見に来て電気消してくれたのかな、

そう思って寝ようとしたんです。

ガリガリ、ガリガリ

ふいに何かを引っ掻くような音にびくっと目が覚めました。

電気は消えて真っ暗で、声がでなくてパニクっていました。

ガリガリ、ガリガリ

また聞こえます。

リビングの入口の方から。

怖くて涙ぐんで、でも見たくないけど目が勝手にそっちの方を向いて。

居たんです。

リビングの入口から

半分顔を出して壁に爪を立ててガリガリと引っ掻く

女が。

長い髪を垂らしながら凝視してくる女が。

暗くてもはっきりしてて

血走った目だけがこっちをはっきり見てて。

壁に傷がつくくらい何度も爪を立ててガリガリと引っ掻く音だけが私の頭に響いてきました。

そこから記憶がありません。

次の日、気がつくとソファーに寝ていて、Cが横から顔を出しました。

C『大丈夫か?』

私『え?』

Cが言うには、どうやら私が意識をなくしたあとすぐに、

『誰かいる!誰かいる!殺した!殺された!誰かいるんだよおおお!!』

と大声で叫んでいたそうなんです。

B『いわくつきって何?ってお前聞いてきたよな。あれな、この家に住んでた人が屋根裏に潜んでた男に殺された家なんだと。怖がるから内緒にしとこうって俺ら話してたんだ、ごめんな』

私『殺された部屋って?』

B『ここなんだよ』

昨日の恐怖が甦ってきて私は号泣しました。

後ほどすぐに引っ越しが決まり(決まったと言うかそれぞれ実家に帰ることに)引っ越し準備をしていたんです。

Bの部屋は和室なんですが、荷造りのためにガムテープを借りるときふと押し入れを見たんです。

そしたら、開いてたんです。

押し入れの上の天井が。

板が少し外れてて、一瞬目みたいなのが見えたんです。

あの血走った、目が。

余談ですがBとDが連れてきた女は金髪と茶髪の二人だけだったらしいんです。

私が見たのはあの女性だったのでしょうか…

偶然かもしれませんが、その後Bとは連絡がとれません。他のA、C、Dも連絡がつかないとぼやいていました。

長文駄文にお付き合い頂きありがとうございました

怖い話投稿:ホラーテラー ちびろさん  

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