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短編1
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鏡の前

小学四年生の時。

私が通っていた学校の階段の踊り場には、縁のない鏡が掛けられていて、もう一方の壁には、子供達が描いたポスターと角には、当時の自分と同じくらいの高さの観葉植物が置いてあった。

ちょうどそれらが鏡に映る。

四年生の教室は二階。

ある日、漢字の宿題があるのに、肝心の漢字ノートを学校に忘れてしまった。

学校へ戻り、階段を駆け上がり自分の教室へ。

ノートを手に取り、一息。

ふと周りを見ると、当然ながらいるのは自分一人。

いつもとは違う静けさと物寂しさに少々怖くなった。

怖さも手伝い学校特有の噂話を思い出してしまった。

鏡にもう一人映るとか、誰もいないトイレから泣き声が聞えるとか。

早く帰ろうと教室を出る。

階段を降りる時、「そうだ、あそこに鏡あるんだったぁ」と見ないように足早に通り過ぎる。

見ないようにしつつも興味が勝り、チラっと鏡を見てしまう。

植物とポスターが全体的に映り他は映っていなかった。

「変なの映ってなくて良かったー」

安堵し帰宅。

家に着き、何気なく部屋の鏡を見た。自分と後ろの風景が映ってる。

そう、鏡は自分も映る筈なのだ。

あの時、映っていたのはポスターと植物。

それだけだった。

怖い話投稿:ホラーテラー メガネさん  

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