俺の実家は線路に近く、狭い路地を入った所にある。車では入れないから駐車場は少し離れた所に借りていた。駐車場に行くには線路を渡らないと行けない
俺には線路沿いに住む友達Aがいる。家が近いこともありよく遊んでいた
ある日の日曜日、その日はAとその妹のBちゃんの面倒をみていた。
Bちゃんは何故か線路に歩いて行こうとする。その度に俺達は連れ戻していた
今でも思う。何故ちゃんと見ていなかったのか…
俺達が少し目を離した隙にBちゃんはまた線路に向かっていた
俺が気付いた時には、線路のすぐそばに行ってしまっていた
そして俺は見た。
女の人が線路の上で手招きしているのを
直感的にヤバイと思い駆け寄ろうとしたが遅かった
そこに電車が来た
その光景はひどくゆっくり見えた
電車の風圧でBちゃんはまるで紙のように吹き飛んでいった
運転手は気付かなかったのか、電車はそのまま通りすぎた
女の人はいなくなっていた
Aが大声で泣き出した
その声を聞いてAの両親が家から飛び出してくる
Aの父親は血塗れのBちゃんを抱き抱えて病院に走った。何度も何度もBちゃんの名前を呼んでいた
俺は全く動けない。足はガクガク震えていた
動けないでいる俺の所にAが来てこう言った
『お前のせいだ!』
その言葉は俺に重くのし掛かった。俺の親や近所の人は「お前のせいじゃない」って言ってくれたが、俺はなかなか立ち直れずしばらく学校を休んだ
それ以来Aとは疎遠になってしまった
二年後、俺が学校から帰ると線路に警察がいるのが見えた
人が轢かれたらしい
同級生の父親だった
次の日から線路にフェンスが立ち封鎖された。もともと遮断機もない立入禁止の所だった。むしろ今まで封鎖されてなかったのが不思議なくらいだ
俺の親は「遠回りしなくちゃいけなくなった」って嘆いていたが、俺は封鎖されて良かったと思う
あれから20年近く経った。あの女の人はなんだったのかはわからないままだ。それに女の人の姿は記憶から薄れ、ほとんど思い出せない
だが、血塗れのBちゃんは今でも俺の記憶に焼き付いている
怖い話投稿:ホラーテラー Mさん
作者怖話