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中編3
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非通知

私は高校2年生。今日もいつものように、放課後残って仲の良い友達数人とワイワイ話していた。

「現社の△村、女子高生フェチらしいよお」

「え~っ、まじ?」

最初は教師の悪口で盛り上がっていたが、次第に誰が誰と付き合ってるだの、誰が誰を好きだのという恋愛の話になっていった。女子高生ならお約束の展開である。

みんなで噂話で盛り上がってる時、聞き慣れた着信音が鳴った。それは私の携帯から流れていた。

「なに、電話?」

「うん、でも非通知なんだけど」

携帯電話を開くと非通知の文字があった。普段なら無視するが、みんなの

「出てみてよ、変態だったらマジウケるじゃん」

の声に、渋々通話ボタンを押した。

「もしも~し?」

なにも聞こえない。

「誰だった?」という問い掛けに首を振った時だった。

「イマ迎エニ行クヨ」

ノイズのような声だった。男か女かもわからない声。その一言だけで電話は切れた。

「ね~誰?」

友達の声で我に帰った。私は「いきなり切られた」と嘘をついて笑った。場の空気を壊したくなかったからだ。携帯電話を閉じた時、鳥肌が立っていることに気がついた。

帰り道、一人だけ反対方面の私は早足で歩いていた。あのノイズのような声に対する恐怖がそうさせた。壊れた機械のような声が頭から離れなかった。

と、携帯電話から着信音が鳴り響いた。親かな、と思い携帯を開くと、

非通知

の文字がディスプレイに浮かんでいた。

鳥肌が立ち、とっさに電源ボタンを押そうとしたが、ある考えが浮かび指をボタンから離した。

友達のうち誰かのイタズラだとしたら?彼女達の顔を思い浮かべると、その可能性は十分に感じられる。

私は深呼吸をして、通話ボタンを押した。

「もしも~し?イタズラなんてタチ悪…」

「イマ迎エニ来タヨ」

あの、声だった。

ノイズのような声が頭蓋に響き、私は悲鳴をあげて携帯を落とし後退った。しかし、背中がなにかにぶつかり振り向いた。

「どうしたんだい?」

振り返ると、そこには見慣れた学校の先生がいた。私を見ると、先生は耳に当てていた携帯をおろし優しく微笑んだ。

いつもなら先生となんか話したくもないが、今は誰でもいいから味方が欲しかった。

「先生、あの…」

先生はなにも心配しなくていいというような笑顔で、私を殴った。地面に倒れこんだ私にすかさず馬乗りになり、私の首に手をかけた。

わけがわからずもがいたが、彼と私の間には圧倒的な力の差があった。

「ぐぅ…うっ…」

頭に血がのぼる。息ができない。

先生を見ると、彼は笑っていた。目がぎらぎらと異常な輝きを放っており、私は最近多発していた女子高生絞殺事件の犯人は、たぶんこの人だろうなと妙に冴えた頭で考えた。

「どうしたんだ…俺が、殺してやるのに…なあ…迎えに来たんだよ…迎えに…死神が…迎エニ…来タヨ…」

現社の△村先生は、うわごとのように呟きながら、首にかけた手に力を込めはじめた。

「どうして…か、聞きたいか?お前みたいなのが苦しむ顔が…俺は…なあ…あはは…」

薄れゆく意識のなかで、私は友達が言った言葉を思い出していた。

『△村って、女子高生フェチらしいよ』

「イマ逝カセテアゲルカラネ」

△村の嬉しそうな言葉を聞きながら、私は目を閉じ意識を手放した。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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