『愛してます』
突然そう言われた。
ゴキブリから。
スリッパを持って、俺は無表情のまま固まった。
家に帰るとカサカサ動くGが居て、そのまま殺そうとした瞬間告白された。何で?
Gなのにかなり綺麗な声。この際人間の言葉をしゃべったとかどうでも良い。艶やかで、やけに色気のある声。もっと話して欲しくてGの身体にスリッパを近づけた。
『…殺さないでっ』
ああ良いね。その声。自分が狂ってるのは分かってる。職場に女子はいないし、おまけに1人暮らし。この生活を6年やってきたせいか、どこかプッツリ切れた様だ。
このGの艶やかな声も幻聴の可能性が高い。
「…」
俺はスリッパを投げた。
「…殺さないよ。それより夕飯一緒に食べない?」
続きます
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話