妹から聞いた話です。
もう、今から10年ほど前になります。
当時住んでいた家は一軒家で一階にお風呂と車庫があり、その二階、三階に私たちは住んでいました。
妹はまだ四歳と幼く、よく車でどこかへ出かけた帰りにそのまま寝てしまい、起こしてもとても機嫌が悪く、なかなか言うことをききませんでした。
そして、その日母は妹を車に寝かせたまま上の階へ上がっていってしまったそうです。
もちろん、20分くらいしたら起こしに行くつもりで…。
ここからが、妹の話です。
妹はしゃりしゃり…という音で目が冷めました。
車庫には電球の明かりが灯っていますが、薄暗く奥の方はよく見えません。
その、不気味な音は車のボンネットの先の車庫の隅から聞こえてきます。
音はどんどん大きくなり、ステッ○ワゴンの後部座席で寝ていた妹は身を乗り出して音のする方へ目を凝らしていました。
闇の中から初めに見えたのは手でした。
それは、草を刈る様なカマをもっています。
じゃりじゃり…
カマが車のボンネットにあたり音が一段と大きくなりました。
ありがちな話ですが、カマをもっていたのは紫の着物を着た女でした。
女は車をするりと抜け、妹のすぐそばまで這ってきました。
絶叫する妹。
足首を捕まれ、咄嗟にその手を蹴り飛ばしました。
その時、妹の叫び声を聞いた母親が何事かと車庫に戻ってきました。
もう、そこには女の姿はなかったそうです。
その話を聞いた時は、既に今の家に引越しをしていたのですが、その家に住んでる時に聞かなくて本当に良かったと思います。
また、後日談ですがその家には井戸があり、昔は祖父母が自動ポンプで地下水を組み上げお風呂のお湯に使っていたそうです。
丁度、その井戸があったのが車庫の隅でした。(井戸というか、太い水道管が通ってるくらいにしか見えないんですが…)
井戸の上に家を建ててはいけないと知ったのはずいぶん最近です笑
怖い話投稿:ホラーテラー 峰子さん
作者怖話