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中編3
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祖父ちゃんの手紙

私は今年で21歳になるんですが、最近死んだ祖父ちゃんからの手紙が出てきたらしいんです。

私の祖父ちゃんが亡くなったのは、私が中学校を卒業する一ヶ月前でした。

高校も決まり、制服姿を見せるのが何より楽しみだったし、祖父ちゃんもとても楽しみにしてくれていました。

しかし祖父ちゃんはある日突然歩けなくなってしまい、寝たきりになってしまいました。

私はその日に限ってなぜか学校に行かず祖父ちゃんの側に居ようと思いました。

学校を休みたい、と母に言うとダメだと言われましたが、私はどうしても行きたくなくて祖父ちゃんの所へ行ったんです。

(自宅から祖父ちゃん家へは歩いてすぐ)

『私今日学校行かない、祖父ちゃんの所にいる』

そう言うと祖父ちゃんは言いました。

『祖父ちゃんは大丈夫だ、そう簡単に死なないよ、今日も元気にいってらっしゃい!』

私の大好きな笑顔で言う祖父ちゃんの言葉に促され、

『分かった!すぐ帰るね、いってきます!』

と言って学校へ行きました。

しかし、それが最後の会話でした。

私は高校卒業と同時に東京に上京し就職したのですが、辛いことばっかりで毎日泣いていた日もありました。

実家にもあまり帰れず、祖父ちゃんの墓参りも近年ではあまり行っていません。

そんな中、母から電話が来ました。

『祖父ちゃんの手紙が見つかったよ』

その言葉に私は祖父ちゃんとの思い出が甦ってきて、目頭が熱くなりました。

祖父ちゃんの手紙にはこう書かれていました。

『なっちゃん(私)、なっちゃんは小さい頃からよく祖父ちゃんと手を繋いで山道を歩いたね。

なっちゃんは本当に明るく元気に育ってくれてもう小学校六年生だ。

これから中学、高校、そして大人になって働くようになるんだね。

祖父ちゃんは最近不思議な体験をしました。

仏様が祖父ちゃんの寿命を教えてくれたんです。

でも祖父ちゃんは、楽しみにしてたなっちゃんの二十歳の成人式を見られそうにありません。

祖父ちゃんが死んだあと、婆ちゃんは独りになっちまう。

なっちゃんが祖父ちゃんの代わりに婆ちゃんが寂しくないように話し相手になってあげて下さい。

なっちゃんが将来大きくなって歳をとって婆ちゃんになっていつか祖父ちゃんと同じ場所に来たなら、また手を繋いで一緒に歩きましょう。

健やかなる成長を願いながら、祖父ちゃんは応援しています。』

家族一人一人に宛てられた手紙が、押し入れの奥から出てきたそうです。

祖父ちゃんはお菓子のカンの中にその手紙をいれていて、そこには私が昔あげた石ころやお花なんかが押し花にされて出てきたそうです。

私は号泣しました。

でも不思議な事に祖父ちゃんはこの手紙を亡くなる4年も前から書いていた事になります。

書かれていた日付は祖父ちゃんが亡くなるぴったり四年前だったんです。

母から色々話を聞くと、婆ちゃんは最近家から出ようとせず、あまり話そうとはしなくなっていたようです。

父と母も喧嘩が最近あるようで、見兼ねた祖父ちゃんが手紙を見つけるように仕向けてくれたのかなと思いました。

私は今度少し長めに休みをとって、実家に帰ろうと思います。

そして婆ちゃんと父、母と祖父ちゃんの墓参りに一緒に行って家族の絆をもう一度修復できたらと思います。

祖父ちゃん、大好きです。

夢でもいいから会ってありがとうと伝えたいです。

長々と失礼しました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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