以前、「独白」を投稿させて頂いた者です。
また創作ですが、投稿させて頂きます。
では、どうぞ(^^)
俺は窓際で一つ大きく欠伸をした。
朝の陽射しが背中を暖めまた眠気を誘う。
リビングでは、毎度BGMと化したニュースを流しながら4人の男女が食事を取っている。何やら息子の成績がどうのと男女が言い争っているが、俺には関係ない。
何時も繰り返される朝の一幕にウンザリしながら欠伸をまた一つ。ふとテレビが目に入る。
そこには、某と言う国の内戦の様子が映し出されていた。
大袈裟な装備を担ぎ行軍する兵士達。怪我をして運ばれる者。
しかし、俺の目に映ったモノはそれだけではなかった。
頭を潰され、肌を焼かれ、腕を千切られ、それでも行軍を続ける兵士達。
まったく、やるせないことだ。
俺はテレビから目を反らし、家族団らんと言うやつを見てみた。どうやら、此方は決着がついたようだ。
トドメは女の一言だった。
「あなたの稼ぎが少ないから!!」
男は顔を真っ赤にしたあと、諦めたように項垂れ仕事とかいうやつに出かけた。
俺は思う。
もし地獄があるなら、正にこの世界は地獄だろう。
俺には預かり知らぬ事だが、何処かで誰かが酷い死を迎え、多くの者が同じ日々を繰り返す。
たまに、昼間に街を歩いてみるといいだろう。死んだ魚のような目をした人間に出会える。
ほら、そこの女も目が濁ってきた。無限と思われる地獄までもうすぐだ。
まあ、俺には関係無いことだ。それより俺の地獄は…
小さな男の子が俺の前に飯を出す。
「ご飯だよ、ニート。」
その名前で俺を呼ぶな!!
しかし、悲しいかな、奴には「ニャ~」としか聞こえてないようだ。
とにかく、俺はこの子の目がまだ曇っていないことに安堵した。
出来るならこの先もこの地獄に飲まれず育って欲しいものだ。
俺はまた一つ欠伸をするだけだった。
怖い話投稿:ホラーテラー とくめいさん
作者怖話