これはもう10年くらい前の、私が白○湖でリゾートバイトをしていた頃。
面白半分で真夜中、この辺りでも有名な塩○峠の六角堂に仕事仲間数人と行きました。
工業用地として工場が建ち並ぶ中に、小島のような小高い林の固まり。
その奥に六角の壁がある小さな廃屋があるという。
林の中に入った瞬間、生温かい臭みと拒むような空気感に包まれる。
程なくして、ほぼ骨組みと抜けた床などの破片が散乱する廃屋が現れる。
確かに六角型、しかしせまいなぁ、人が住む目的の建物ではなさそうだ。
結核患者のサナトリウムの廃墟ときいていたが?
それにしても噂の幽霊らしき気配は全く感じない。
むしろ祠のように結界が張られて追い払われている様。
朽ちた床にはなぜか新聞とイヤらしい女の裸の素人写真何枚かが置いてある。
色情に満ちた赤いハレーションの写り込み。
その時からにわかに視線を感じ始めて、妙な臭みが増してくる。
「この臭い、なんかさ男のあれというか、なんか体液っほくない?」
突然、ひとりが走り出し廃屋の中央に。
「これはヤバい」
堰を切ったようにパニックに陥る私たち。
怖じ気ずく女の子が腰を抜かしたので背負ったり、その彼を連れ出しと、
慌ただしくも無事にみんなで林を抜け出し、六角堂を後にする。
今はもう取り壊されているそうです。
怖い話投稿:ホラーテラー ラダさん
作者怖話