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短編2
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愛2

取り敢えず、彼女に肉じゃがを与えてみた。小皿の上にコロリとじゃがいもを置いて差し出す。

『…美味しい』

あああああ…

何だ、死ぬほど満たされた気持ちになる。何で俺を好きになったのかは聞かない。だって『いや、死にたくなかったから咄嗟にあんな言葉出たんですよ』とか、この艶やかな声で言われたらショックだし。

寝るときは、枕元に居させるようにした。

「ねぇ、君の声を聞きながら寝たいから、思い出話とか聞かせてよ」

『ええ、分かったわ…』

彼女の口からは、とにかく食べ物の話と、逃げ回る話ばかり。わりとヘビーな内容で、とても眠れそうにないから、途中で中断させた。彼女は寝る前に一言。

『…おやすみなさい』

そう言ってくれた。

…朝、目が覚めると鼻の上にGが、カサカサ動いてる。

「ぎゃああああああああああああ!?」

『きゃあ』

起き上がり、彼女の悲鳴を聞いてようやく昨日の事を思い出した。

「ごめん、驚かせて」

『良いのよ。それより、時間大丈夫?』

こんな風に、しばらく俺たちは上手くやってきた。

ある日…

いつも通り彼女と食事。幸せそうに美味しい美味しいと言う彼女。ふと、彼女の嫌がる声を聞きたくなってきた。

軽く指先で、彼女の身体をつついてみる。

『…やめてください』

…良いね。もっと聞きたい。

俺は、彼女の足を一本プツンと引っ張って取った。

『いやぁあああああ!!』

…堪らない。ゾクゾクする。艶やかな悲鳴。誰かに聞かせたい。

俺は彼女が逃げ出さないように籠の中に入れ、友人を電話で呼び出した。

「いいもの見つけたんだ…ほら、このゴキブリなんだけどさ、人間の言葉話すんだよ。しかも良い声でさ」

ブチブチと足を引っ張り、彼女の悲鳴を聞き続ける俺を見て、友人は青い顔をすると、そのまま出ていった。

彼女の足は全てなくなった。もう歩けない。

「…そういう夢見たんだよ、アンタの。最後精神病院送られてねぇ。頼むから、早く嫁さん見つけてきてくれ」

久しぶりに、実家の母からの電話。かなり気分が悪い内容を聞かされた。

「何て言う夢見てるんだよ」

そのまま、ガチャリと電話を切る。本当に、何て言う夢だよ…

『どうしたの?貴方』

…こんな可愛いらしい彼女を、虐める訳ないじゃないか。

「…何でもないよ」

今日も、Gと俺は仲良く夕飯を食べる。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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