俺には何事にも全く動じないIと言う友達がいる
そいつがいきなり言い出した
I「滝が見たい!見に行こう!」
俺「夜の11時なんですけど」
I「見たい!俺見れるとこ知っとるよ行こう!」
…
俺はIの頭の中を一度見てみたい
結局押しきられて行くことになった
Iの車で走ること2時間、完全に山の中
I「着いたよ~」
俺達は車を降りる
俺「あの~Iさん…滝まで3kmって書いてあるんですけど…」
I「知ってるよ~」
俺「聞いてないけど…」
I「言ってないもん」
一瞬殺意が芽生えた…
I「早く行こ~」
仕方なく歩く俺
…
滝に到着
俺「すげぇ…」
I「でしょ?」
俺「いや、すげぇ怖いんですけど…」
なんだこの空気は!?滝なんか暗くて見えねぇよ!ただただ嫌な気配をビンビン感じるぞ!?
俺「もういいだろ?帰ろうぜ」
帰り道、背後に視線を感じた。到底振り返れない
車に乗り込み、帰路につく
俺「気付いてるか?さっきから車の周りに白いモヤモヤが…」
I「あぁ気付いてるよ~」
カーブを曲がろうと減速した時にモヤモヤの原因がわかった
ボンネットの隙間からシューシュー出てる
俺「ちょっ!止まれ!」
車を寄せて止まる。メーターを覗くとテンプメーターが振りきっている
俺「ラジエーターだな…多分もう走れねぇぞ。とりあえず見てみるか」
そう言って車をおりようとしたらIがロックをかけた
I「出ない方がいいと思うなぁ~」
俺「なんで?」
I「白いモヤモヤよ~く見てみ」
携帯をいじりながらIが言う
俺は外を見る。白いモヤモヤに混じってたまに顔が見えた
俺「うわぁぁ!なんじゃあれ!?」
I「滝からついてきたんじゃない?自殺の名所だし」
俺「だから聞いてねぇよ!!」
I「だから言ってないし」
…殺っちゃうか?
I「車から出なきゃ大丈夫だよ~」
そう言いながらシートを倒すI
俺「入ってきたらどうするんじゃ!?」
I「入ってきたら教えて~」
…
…この状況で寝やがった
相変わらず外はモヤモヤと顔だらけ。顔は時々窓にぶつかってくる。俺は一睡も出来ないまま朝を迎える
朝になり顔とモヤモヤは消えていった
ラジエーター異常なし
ようやく家につくとIが満面の笑顔で携帯を取り出す
『うわぁぁ!なんじゃあれ!?』
Iの携帯から聞こえてきたのは俺の情けない声だった…
怖い話投稿:ホラーテラー Mさん
作者怖話