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中編3
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ひとり合作

以前書いた2つの話の続きを合わせて書いてみました。微妙かもですがどうぞ。

何が楽しくて夏休み初日からオッサンと2人きりでドライブしないといけないんだ…しかも深夜に。

――「明日から長い夏期休暇ですね教授」

「そうだね○○君。じゃあ明日の夜に君の部屋まで迎えに行くから」

「え??」

「ちょっと用事に付き合ってくれよ。どうせ暇なんだろ?」――

何かを企んだ笑顔を向けられた俺はイエスマンに成らざるを得ない。

しかし山奥だな。どこへ行くんだ?

「墓参り…みたいなものかな。もしかしたら貴重なモノが見れるかもしれんよ」

肝試しか…俺があのレポートをまとめたからか?

目的地に着く。暗くてよく分からないがダムのようだ。遠くで若者が数人で騒いでいる。夏だからって浮かれてるのだろうか。

「まったく最近の若者は」教授とそう言いながらダムのほとりにある石碑まで歩いてきた。

「昔ここにはな、今は沈んでいるが大きな水害が起きた村があった。村人はほぼ全滅だったそうだ。その中に…私の曾祖母もいたんだよ。だから毎年夏にはお参りをしてるんだよ。」

「さて、今日は見れるかな?」

その時だった

さっきの若者達が騒いでる、いや悲鳴をあげてる!

慌てて駆け寄っていくと…

水面に黒い人型の何かが浮かんでこちらを見ていた。何体も…

若者達を乗せた車はすごい勢いで走り去って行ったが、1人取り残されていた。

そいつはガタガタ震えて何かを言ってたが教授が「大丈夫!アレは水からは出てこない」と言うと少し落ち着きを取り戻した。

呆れた事にどうやら若者達はダムで泳いで遊んでたらしい。

「あいつら俺を置いていきやがって!」

「何人で来てたのかい?」教授が問う

「5人ですけど」

「おかしいな…さっき見えた限りでは5人乗っていたが」

「うーん…あれは水からは出てこないと言ったが一体だけ例外が居てな。もしかしたらそいつが憑いて行ってるのかもしれん。とりあえず車に乗れ!追うぞ!」

黒い人型の『何か』は村人の自縛霊で、恐らく若者達が騒いだ為に注意するために現れたらしい。ダムで泳ぐなんて俺クラスのアホな奴等だ…

問題の車に乗りこんだ奴は詳しくは分からないが当時の村にまつってあった神様かもしれないと教授は話した。

前方に若者たちの車が止まっていた。ライトは消えている。

恐る恐る中を覗き込もうとすると…

閉まっている窓からニュッと顔が飛び出してきた。黒い顔だが見開いた目とニッと笑った口だけはハッキリ見えた。

そいつはそのまま宙に浮かびダムの方へ帰って行った。

中の若者達は…気絶しているだけで無事のようだ。

意識が戻った若者達が言うには、ダムで遊ぶなと説教をされたそうだ。

その後気絶したが、まあそれだけで済んで良かった…と言っていた。

若者達と別れ帰りの車中で「普段なら黒いアレらは水の底でホタルみたいに淡く光ってて綺麗なんだよ」と教授は話したが俺は(奥さんと来いよ)と心の中で思っていた。

幽霊にも人間にも色々事情ってものがある

ちなみに『無謀な検証』と『ダムダイブ』の続きでした。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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