私が大学時代の時の話です。
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その日、友人と友人の彼氏は喧嘩をした。
理由は彼氏が女と歩いているのを目撃したこと。
浮気だと思った友人は大激怒したが、彼氏は否定し続けた。
喧嘩はエスカレート、お互い結構なひどい言葉を投げあっていた。
先に出ていったのは彼氏。
『勝手にしろ』
と言いつつ小さな箱を壁に力の限り投げ付けて出て行った。
友人も彼氏が部屋を出てってから携帯やぬいぐるみを玄関のドアに投げ付けた。
しかしそれが友人と彼氏が逢った最期だった。
彼氏はバイク事故、信号無視でトラックと激突。
即死だった。
友人は三日三晩泣き続けた。
喧嘩別れのまま二度と会えないなんて。
私も友人を精一杯慰めたが、友人は精神的にも相当なダメージをくらっていた。
しかし友人は彼氏が亡くなった日を境に彼氏を毎夜枕元で見ると言い始めた。
物が勝手に動いたり、刃物がテーブルの上に並べられていたり。
ポルターガイスト現象とあとは無数にかけられて来る携帯電話への無言電話。
友人は彼氏が浮気を疑われた事を酷く怒っているんだ、そう言っていた。
更にひどくなるとしゃがれた声で
『……コロ…シ…テ…ヤル』
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と電話越しで発言してくるようになった。
きっと私を連れて行こうとしてるんだよ。
もういいよ、疲れた。
この発言をする頃には友人は酷くやつれていて雰囲気がとても暗かった。
私もその時友人の家に泊まったが確かに酷かった。
寝ている時に友人は呻き始めるし、私も寝れなくて何度も友人を気にかけ起こす。
首が赤くなっていて、力強く絞められた後が残っていた。
『こんなの毎日だよ…』
友人の体力も精神も限界だった。
『このままじゃだめだよ!相談しよう』
見兼ねた私は霊力のあると言われていた先輩の所へ助けを求めた。
先輩に事情を話すと、先輩は直ぐさま友人宅へ向かった。
『…いるね。確かに男がいる』
shake
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先輩は目を閉じて壁に向かって手を掲げた。
『!だめだ、この部屋一度出るよ』
先輩はいきなり血相を変えて私達を連れ出す。
私も怖くて何が何だか解らなかった。
私達が部屋を出た後すぐにガラスが割れる音がした。
友人も涙目になりながら私にしがみついている。
『やばいな…ちょっと詳しく聞かせてよ』
友人は浮気が原因で喧嘩した事、その後の電話のことなど細かく説明した。
『あのさ、首絞められた時ってどんなんだった?』
先輩は何か考えたように問う。
『…青白い手だったのは覚えてます。でもいつももうだめだって言う所でパッと離れるんです』
『…ごめん、俺んちの親父に頼もう。俺じゃ対処できない』
すでに日が暮れていたが先輩の電話によりお父さんらしき人が到着した。
『私は先祖代々このような霊に関する事を承けたまっていますので、安心して下さいね』
その言葉にほっとした。
お父さんと先輩は部屋の中に入り、私と友人は外で待機していた。
何かぶつかる音だけが響く。
隣人も窓から顔を出して何だ何だと騒いでいた。
一時間が経過した時、先輩とお父さんが出てきた。
お父さんは曇った顔で話し始める。
『除霊は成功しました。しかし…』
友人は顔をしかめる。
恨みの言葉でも残したのだろうか。
すると先輩が淡々と話し出した。
『あんたの彼氏、浮気なんかしてないよ。
あんたが見たのは女の霊だ。
霊って言うのはそいつと波長があっちまうとくっついて着ちまうんだよ。
その女の霊に気に入られてた彼氏さんの彼女、つまりあんたが邪魔で殺そうとしたわけ』
友人は呆然としていた。
『首絞められてヤバイって思った所でいつも助かるって言ってたろ?彼氏が助けてくれてたんだよ』
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『そ…んな…』
友人はぽろぽろ泣き始めた。
つられて私も涙が溢れる。
『枕元に立って必死に伝えようとしてたんだよ、あんたが危ないって』
友人はその場に泣き崩れた。
ごめんと何度も言いながら。
その日からぱったり怪現象は止んだ。
友人も元気を取り戻し、いつもの調子になっていた。
『部屋を片付けてたらね、あいつが最後に投げ付けてった小さい箱を見つけたの。そしたら…見て』
そう言って友人は右手の薬指の指輪を見せてくれた。
『そう言えば、彼が死んだ次の日が一年記念日だったな』
友人は少し悲しげな顔をして呟いた。
あれから何年も経ってるけど、友人は結婚してません。
この間逢った時は、右手から左手の薬指にあの指輪ははめられていました。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話
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