目を覚ますと暗闇の中にいた。
頭が痛い。
なぜ…
そうだ。
さっき誰かいた。
そしておそらくソイツに
頭を何かで殴られた。
ソイツの存在を思い出し
周りを見回す。
しかし周りは暗闇だ。
スプラッタ映画のような状況だと思っていたが
スプラッタ映画そのものじゃないか
俺は殺されるのか?
なぜ?
アイツは誰だ?
てゆうか
何でさっき殺さなかったんだ?
…考えなければ良かった。
殺さない理由は2つ考えられる。
1つは殺すつもりが無いから。
もう1つは
あとで殺すから。
共通するのは
この暗闇がまだ続くということと
たぶんアイツは俺を
いたぶるということ。
考えなければ良かった。
不安と
恐怖と
焦燥と
絶望を
こんなに感じたのは初めてだ。
「なあ!何でだよ?何でこんなことするんだ?」
アイツがいるのかは分からないが
俺は叫ぶように聞いた。
やはり返事は無い。
が、代わりにあの音が聞こえた。
コッ コッ コッ コッ コッ
足音だ。
「あんた誰だよ?何でこんな」
ドッ
腹に強い衝撃を受け
その勢いで後ろに倒れた。
息ができない
胃から込み上げる嘔吐物を
吐き出す
殺される
嫌だ
死にたくない
助けて
殺される
嫌だ
死にたくない
お願い
頭の中で断末魔が浮かび続けるが
言葉にならない。
さっきの衝撃で
内臓がおかしくなったのか
ひょー、とか
ひゅー、とか
間の抜けた息切れ音しか出ない。
アイツは
椅子に縛られたまま倒れている俺を起こして
腕を触っていた。
ヤツの手が
俺の手の先端へと移動してゆき
指の辺りで一度止まって
小指を固定した。
指が金属で挟まれている感触がする。
狂いそうだった。
これから何が起きるか予想がついたから。
「―――っ!」
声にならない悲鳴と同時に
ニヂュ
て音がして
再び俺は、気を失った。
つづく
怖い話投稿:ホラーテラー 6さん
作者怖話