中学三年生の春..私ははしかにかかった。当時私は156センチ48キロとまぁ中肉中背の体つきで、剣道部だったこともあり体力はあった。
でも人間病気には勝てない。
ある日突然それはやってきた。
まず妹がかかった。
妹の苦しむ姿をみて可哀想と思っていた矢先の事..頭がクラクラしてきた。う…頭痛いぃ。
私も案の定はしかにかかった。最初は風邪みたいな症状で、生徒会や部活…そして何より塾が休める事にちょっぴり浮かれてた。でも次の日から朝と夜がわからなくなった。
ご飯が自力で食べれないし友達が送ってくるメールが開けないでいた。携帯電話を手で握れない。それくらい体ははしかにおかされていた。時間が経つにつれて症状が悪化。今度は体中がかゆくて仕方ない。
辛い…辛すぎる。ついには幻覚までもが始まった。天井のちょっとしたシミから小さな小人が私をみてる。キモイ…やたら冷めた子供だったから凄く現実的にとらえていた。小人はみるみる私の方に迫ってくる。漫画みたいにパタパタ羽付いてて降りてくる。怖いというよりキモイ。
キモイというより具合悪すぎてもうどうでも良かった。
テクテク…私の顔らへんに来た。私きっと本当にヤバいんだ。小人は何やら話しかけてきた。
小人「ねぇねぇ大丈夫?」
私「あんた見えてる段階で大丈夫ではないわw」心の中でそんな事考えてた。
小人「治してあげるからね。」
私「どんだけいい奴なんだよw」
小人「ゆうりが願った分だけ早く治るよ。」そう言って小さなあめ玉を出し始めた。小人と同じくらいの大きさのあめ玉。市販で打ってるのの倍くらいかな。
私は本当に具合が悪かったので心の底から願った。自分らしくないなと思いつつ、
「小人さんどうか私を治して下さい」としおらしく願った。
そしたらあめ玉が光始めた。小人はそのあめ玉を私の口に運んでくれた。
味はわからないんだけど、走馬灯?みたいに私がはしかにかかってからの記憶が頭の中をかけ巡った。
記憶の中で病院やらお母さんの顔やらなんかとにかく、自分の体感してる時間より長い時間が私の頭の中をよぎった。
そしてどこからか小人の声が聞こえた。
「もう大丈夫だよ。バイバイ。」
私「え?なに?どこいくの?うん…バイバイ。ありがとう。ありがとう。」
次の瞬間目が覚めた。
お母さん「大丈夫?良かった。良かった。」
何が何だかわからないけど、私は相当まずかったらしい。まず目が覚めた場所が病院のベッドだった。私の記憶の中ではずっと家のベッドで寝ていたし、私の体内時間ははしかにかかってから4日位だったけど、実際は2週間経ってた。体重も36キロまで落ちてて自分がびっくり。
その後はすっかり良くなって学校にも通える位復活!なんだったんだろう…
今でもわからないけど、小人に会ったあとから私の人生は良いことばかり。
痩せたおかげで雑誌モデルにスカウトされてアルバイトしたり、第一志望の高校大学に推薦入学。就職もなんなくクリア。
冷めた子供だったけど、色んな事を吸収出来るようになりました。今の自分だったらもっと言葉を考えて感謝の気持ちがいいたいです。
キモイとか思って本当にごめんなさい。
本当に本当に…心の底からありがとう。
怖い話投稿:ホラーテラー ゆうりさん
作者怖話