続き
Aさんは、独りで夜勤していたが特に何事もなく時計の針が進む。
深夜2時を過ぎた頃、Aさんは、ふと工場の機械を映している監視カメラのモニターに人影が映るのを見た。
泥棒かと思い、良く見てみると髪の長い女性のようだ。長い髪で顔が隠れて見えない。
…のそっ、のそっ。
その人影が歩き出して、モニターから消えた。
…のそっ、のそっ。
工場の出入り口のカメラのモニターにその女が映る。そして、女は出入り口を出た。
…のそっ、のそっ。
今度は廊下の監視カメラが女をとらえる。女は廊下を歩いている。
ここで、Aさんは肝心な事に気付いてしまった。工場内、工場の出入り口、廊下…。
そう、女が警備員室にどんどん近付いている事に。
Aさんはパニックに陥る。
しかし、女はどんどん近付いてくる。次のカメラ、次のカメラと映るモニターを変えながら着実に。
そして、どのモニターにも映らなくなった。
しばしの静寂が部屋をつつ…ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン
Aさんは耳を塞いで、丸くなり、黙ってやり過ごす事しか出来なかった。
ドンドンドン……
…警備員室のドアを叩く音が止んだ。
Aさんは冷静さを取り戻した後、ドアを開けて外を確認してみた。
…外には誰も居なかった、ただポツンと白い箱が置いてあるだけで。
帰り際のBさんの言葉が、ふと甦る。
Aさんは、ゴクリと唾を飲んだ後、その白い箱をゆっくりと開けた。
そこには、髪の長い女の生首が入っていた。
怖い話投稿:ホラーテラー やっぴぃ♪さん
作者怖話