この1ヶ月で体重が10㎏近く減ってしまった。
食べ物が受けつけない。
空腹感がないのだ。
人間というものは不思議な生き物で自分が興味がないものは人もないと思ってしまうのだ。
子供に食事を与える事を忘れていた。
「ふ−っ」
と軽いため息をつき黙って子供たちに食事を作ってくれた親友の圭子は身重なのに私を心配して来てくれた。
「ありがとう」
私は圭子にお礼を言った。
「翔子も食べないと」
そう言うとおにぎりを差し出した。
私は無理矢理に口に入れた。
しょっぱかった。
久しく食事をとっていないと味覚もおかしくなるのかな。
「どう?少しは落ち着いた?」
圭子は穏やかな口調で言った。
「……どうだろ…よくわからない」
私は素直な気持ちを言った
「うん。そうだよね。ごめん」
何も悪くないのに圭子は謝るとうつむいた。
私は夫を他の女に盗られた哀れな妻。
今から1ヶ月程前に夫は他の女の元へ行ってしまった。
それから私は壊れた。
何をするのもおっくうで
ただぼうぜんと時間だけが過ぎていく。
今日は何曜日かも即答できない。
あんなに好きだった連続ドラマも観ていない。
洗濯機も回すが干すのが面倒で洗濯物が中で乾いている。
着る服がないから回すが
また干さない。
かれこれ同じ洗濯物を4回洗っている。
替えの服が限界で今日干したら白いTシャツがすっかり綺麗で笑ってしまった。
泣きながら笑った。
いつまでこんなに苦しいんだろう?
でも誰も解決できない。
自分のことなのだから。
私が逃げていては苦しいままだ。
私はやっと自分と向き合い前に一歩踏み出した。
あんなに苦しかったのが嘘のように今の私は明るい未来しか考えていない。
歩いて歩いて………
……??
私はいつまで歩くのだろう??
「翔子。やっと楽になれたね」
圭子は火葬場の煙を見上げ翔子に語りかけていた。
翔子は苦しさから耐えられず自殺をした。
しかし命は助かったが意識は戻らないまま半年間の入院の末3日前に静かに息を引き取った。
「翔子がいないなんてまだ信じられない。
居てくれるだけで私は元気でいられたのに。
翔子の悔しさは絶対に私が晴らすからね。
だから成仏してね」
圭子は火葬場を後にした。
『forever friend』
fin
怖い話投稿:ホラーテラー ナナさん
作者怖話