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中編3
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ジイサン

身に危険が迫っているかもしれない。

なので投稿させて頂きたい。これが自分自身の生きた証となる事を祈って

2週間前の事だ。

蒸し暑く、夏の始まりを感じさせた日の事。

ピンポーン

玄関のチャイムが鳴る。

このチャイムから、俺の日常は狂い始めた。

「はい…」

玄関を開けるとソコには警官が一人。

「あの、ここのアパートの一階に住んでた人なんですが…ご存知ありませんか?」

因みに俺はアパートの二階の、一番端の部屋に住んでいる。

「いや…わかりません」

昔は引っ越して来たら、近所の人に挨拶しに行くのは当然の事だろう。

しかし、最近はそういう事が無くなった。

なので、誰が何処に住んでいるなんて事は一切分からない。

俺は説明すると、警官は礼をし、去っていった。

「しまった…何があったか聞きけばよかった…」

不思議なものだ。警官も何の説明もせずにな…

しかし、何があったかは翌日知る事となった。

「吉田さ~ん!」

「ん?」

朝、仕事の出勤で車に乗ろうとした矢先、仕事仲間の佐藤に声をかけられた。

俺は介護の仕事をしており、佐藤とは同じ職場で仕事をさせてもらっている。しかも、同じアパート住みだ。

「珍しく一緒ッスね」

「…ん」

俺は無愛想な返事をし、車に乗りこむ。

今思うと、おはようの一言も言えない自分が恥ずかしい。

「ちょ…待ってくださいよ。昨日の事件…知ってますよね」

ん?昨日?

「ほら、一階のジイサン不審死の」

ああ!あれか!

「あの警官事情説明してくれないからな~コッチから聞いてやったッスよ~」

よくやった。佐藤。

「で?何だったけ?」

「70代のジイサンが死んでたらしいッス。何か頭打ち付けて死んだとか。んで、ジイサンも独り暮らしだから、通報してくれる人も居ない。2週間も仕事に来ないから、職場の方から通報があったらしいッスよ」

「把握した…てか遅刻だぞ」

俺は礼として、乗せてってやった。

夜、自宅に無事帰還。

ふと、ジイサンが亡くなった部屋を思い出した。

2週間か…相当腐敗してて臭いがヤバかったんだろうな…

なんて、しょうもない事を考えてたらジイサンの部屋前を通過。

ふと、ジイサンの部屋の窓に目をやった。

窓には、青シートがしてあり中の様子が見えなかった。

それからは、特にジイサンの事もすっかり忘れて仕事に精を出してた。

ジイサンの不審死から3日後…

夜、再び自宅に帰還。

ふと、ジイサンが死んでから3日が経ってた事を思い出した。

何気なく窓を見る。

青シートは、剥がされ中の様子が丸見えであった。

「ッ!?」

窓の右端に、顔の形をかたどったものが。

説明しにくいが、蒸気がついた窓に、目と鼻、口の形がくっきりついていた。

あまりにも気持ちが悪いものだったので、自室に急いで戻った。

待てよ…冷静に考えろ…冬場ならまだしも、夏場だぞ?蒸気が窓につくなんて…

そんな事を考えていると外では雨が降り始めた。

次の日の朝、車に向かう。

ふと、昨日の事がよぎり窓を見ると

くっきり残っていた。

いや、昨日雨が降ってたはずだ!残るはずが……

顔の模様は部屋の中であった。

ここから、おかしい出来事が頻繁に起こり始めた。

まず、何日経っても模様が消えない。

まるで、ここを通る者を見るような…また、出してと言いたいのか…

次は、夢だ。

いや、夢かは解らない。

夜中に目覚めると、見知らぬジイサンが俺の事を枕元でじっと覗いてきやがる。

お陰で不眠症に陥った。

考え過ぎだろうか?

仕事にも力が入らず、休みを取らされる始末だ。

気付けばここ数日まったく眠っていないし、飯もろくに喰ってはいない。

そして、これを書いている今も誰かの視線を感じる……

どうしたらいい?

自意識過剰か?

怖い話投稿:ホラーテラー 狂人さん  

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