外は暑い。
蝉のシーズンにはまだ少し早いのか、声は聞こえない。
湿気の中で甘いキンモクセイが香る。
私達はインターホンを鳴らす。
鍵を開け、ドアの隙間から見知らぬ客を見て戸惑う女性。
女「どちら様?」
叔「私の助手と運転手よ。私は免許持ってないからね」
と私達の背後から叔母様。
叔母様逹は久しぶりの再会を喜んでいる。どうやら2人は同級生らしい。
助手と運転手はその光景を微笑ましく見ていた。
叔「では早速、捜し物をしましょうかね。」
この家に着く前の車中で話された任務。それは、ある物を見つけること。
捜し物は『神棚』。
詳しく説明はされなかったが、この家のご主人が頂いてきたものらしい。
その神棚が来てからというものの、偶然かもしれないが家族が体調を崩すことが増えた。
ご主人が入院してる今、見つけて処分してしまおう、ということだった。
ただ、その頂いてきた神棚は飾られることもなく放置され、更に今では何処に行ったのかも分からないという。
家の中は整理されており、とても綺麗だった。
よくありがちな、散らかったゴミの山から呪われた物を探す、よくあるパターンではないらしい。
しかし、整理された家から捜し物をするのも難しいものだ。
と思っていた矢先。
M「これ……」
叔「あら、鼻が利くわね。やっぱり連れてきて良かったわ」
そこには新聞紙にくるまれ、紙袋に入れられた物があった。
ご友人が言うには、紙袋に見覚えがあるとのこと。
間違いなく『神棚』らしい。
発見場所は玄関の靴箱の中。
家宅捜索に入り5分とかかっていないはずだ。
叔「天に崇めるべき神棚を、地という人間が踏みつける場に置いていたのが体調不良の原因だろう」
お祓いをするからと外で待たされる私達。
コンビニでジュースを買い、ご友人の家の駐車場に車を停めなおす。
私「あそこにあるなんてよくわかったね?いきなり靴箱なんか開けんやろ」
M「何となくね。」
私「とりあえず、任務完了やね」
M「お疲れさま。かんぱーいっ」
炭酸の泡もおさまらない乾杯の瞬間、叔母様が笑顔で家から出てきた。
叔「それじゃ、今からお寺さんに行くわよ」
その手には紙袋がぶら下がっていた。
続きます。
怖い話投稿:ホラーテラー マヨさん
作者怖話