雨上がり
水たまりを覗き込むと、其処には自分ではない誰かが映っていた。
ジロウは怖くなり、お気に入りの黄色い長靴でそれを踏みつける。
刹那
その足を掴まれ小さな水たまりに引きずり込まれてしまった。
何が起きているのか理解出来ず、胸まであちらの世界に浸かる。
母が振り向くと、我が子が地面に半身をめり込ませ、こちらを見ていた。
母は必死で我が子を引っ張り上げたが、黄色い長靴が片方無くなった。
別の日の雨上がり
ジロウは今も車イスが足代わり。
お気に入りの黄色い長靴と、ジロウの心を持っていった水たまりを探しに散歩に出掛ける。
母は、受け答え出来ないジロウに時々つぶやく。
「あっちの世界でもよかったのにね!」
ジロウはいつも聴こえないフリをする。
おわり
怖い話投稿:ホラーテラー ジロウさん
作者怖話