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中編5
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家出癖

姉が家出してもう1年半年になる。

その姉貴が帰ってきたんだ。

俺は現在高校3年になる年だ。

2年前に高校は退学になり、工場に勤めている。

いわゆるヤンキーで無茶して退学になってしまった。

今となっては学校行けば良かったって後悔してる。

俺は小さい頃から変な物が見えてた。

普通の生きた人間に見えるときもあれば、あー確実に死んでるなってわかるようなエグい見え方したこともある。

姉ちゃんにもそんなことがあって、妹は更に可哀相なことに生きてるのか死んでるのか見分けがつかないとか言ってる。

俺ん家3兄弟、あたまおかしいんだよ。

ここ最近そんな死んだ人間なんか見てなかったのに夜になると黒い影が見える。

寝ていて目が覚めたときに、頭の上にたっててさ。んでその黒い影を怖くて殴ろうとしたんだけど。

押し返されるんだよ。いくら殴っても押し返される。

次は耳鳴りがひどくなって、パニクって気絶、朝ってパターンなんだけど。

こうゆう感じで何回もあるもんだから

慣れてきちゃってさ。

なんか死んだ母方のじいちゃんとこうやって遊んでたなって思い出してさ。

だからじいちゃんと思ってたんだけど。

最近気付いたんだ。

こいつじいちゃんじゃねえ。

なんでかって、じいちゃんならそんなことしねえんだよ。

むしろ俺の前に出てこねぇ。

だってじいちゃんは姉貴の前にしか出てこねぇから。

姉貴じいちゃんっこで、じいちゃんからすりゃ初孫だったわけでさ

てことはそんなことするの、姉貴しかいねえんだよ。俺の姉貴、すんげえ馬鹿みてえに強いんだ。体は誰より丈夫だと思う。

俺がジャレてパンチしたら、いとも簡単に押し返すんだよ。

子供のときからだった。

俺が

「なんで姉ちゃんそねん強えん!?」って聞いたら

姉ちゃん「未来が見えるから」とかなんとか言ってヘラヘラしてた。

そんな姉貴がまさかな。死んでるはずがねえ。

つか、おれは姉貴を怨んでる。

まあ俺の家、ちょっと複雑なわけよ。

そのせいか俺の姉貴、家出癖がすごくてさ。

姉ちゃんのせいで下の俺達2人は振り回されてたわけ。

でも家出してから帰ってきた姉ちゃん、すんげえ明るくなんのよ。

妙にテンションが上がってるとゆうか。

だから俺もあんま何も言えなかった。

それで姉ちゃんのストレスが発散されるなら別にな。

姉ちゃん、親父によく殴られてた。

虐待なのかな?母親に似てるからってゆう理不尽な理由。

虐待だよな、笑

姉ちゃん未来が見えるなら父さんのパンチぐらい避けたりできるだろうに。

だからなんらかの理由があって避けてないんだろうなって。

俺が姉貴に最後に会った時にそのこと言ったら

「避けたら死んじゃうから」とかわけわかんねえこと言うんだよ

こっちからしてみりゃ、は?って感じなわけで。

でもようやく今日わかったんだよ。

いままで姉貴が家出してた理由も

パンチ避けなかったのも。

姉ちゃんごめん。

姉ちゃん、自殺してた。

遺書は俺と妹宛て。

少し略すけどだいたいこんな感じ↓

「あんたら2人には分かる思うけど、姉ちゃん未来が見えとったんよな。いくら運命を変えようとしてもダメだったわぁ。ごめんな。あんたらには不安な思いをいっぱいさせたな。

でもこれから先は大丈夫じゃけん。D(俺)もK(妹)も幸せになれるから。もともと姉ちゃんはこうなる運命だったんよ。それだけは理解してんな?死んでもあんたらのこと見守る。だから今から書くことは必ず実行すること。」

みたいな。

んで実行することのなかにはどうでも良いこともあったんだけど

重要だと思うのは

姉ちゃんの手を見ろ。

もうほんまにくそ姉貴の野郎。

ビビる。

外見は自殺とはいえ奇麗だけど

手の平だけ真っ黒だった。

変色してた。俺が殴ったから。

あー。

べつに証明しなくてもいいっつの。

俺は笑い泣きしたよ。

怖くなくて悪い。

ここまで読んでくれてありがとうございました。

ほんとにありがとう。

けなしてくれても構わん。

ただ俺はこんな姉貴を知って欲しかったんだ。

俺の予測だが姉貴は家出するたびに、

未来を変えようと動いていたんだと思う。

それこそ人と出会ったりとか何かを成し遂げたりとか

簡単なものだと思うけど、それってかなり難しいことだと思うんだ。

でも、その難しいことをやり遂げて帰ってきていたからこそ、帰ってきたときにテンションが高かったんだと予想してる。

それから、姉貴は父さんに殴られることによって父さんのことも救おうとしていた。

俺の家には母親がいないんだ。

親父は母さんに対して歪んだ愛みたいなもんがあった。

生前の姉いわく父さんはストーカーしたことあるらしい。

この辺の事実もやっぱり1番上の姉ちゃんしか詳しいことは教えられてないんだと思う。

姉ちゃんが家出すると、父さんいつもホッとした顔するんだ。殴らなくてすむって言ってさ。

もし父さんが姉ちゃんにパンチ避けられたりしたら

父さんは姉ちゃん殺してると思う。

殴ってるときの親父、異常だから。

それに母さんも変な力持ってて、それが姉ちゃんと同じ。

未来が読めるんだ。

でも姉ちゃんには劣るんだと思う。

父さんは怖かったんだよ。母さんと姉ちゃんが。

父さんには姉ちゃんが母さんに見えてた。

未来が見えるって力を持っていることを父さんが知ってしまえば、

いよいよ父さんは気が狂うよ。

だから姉ちゃんは

そのちからを悟られないために、殴られていたんだ。

姉ちゃんは、ほとんど何も教えてくれないまま自殺した。

酷い話だよな。

姉ちゃんの自殺の理由が明確には

わかんねえんだ。

俺達を守るためなのか

はたまた未来が変えられない苦しさなのか。

俺は生きてるより死んでるほうが俺達を守りやすかったからっていうのと

未来で姉ちゃんは誰かに殺されるよりは自殺したほうがいいって判断したんじゃないのかなって。

そう予測してる。

この話を書いたからだろうか。

夢に姉ちゃんが時々出てくるようになったよ。

気が向いたら姉ちゃんとの変な思い出をまた書いてみようと思う。

怖い話投稿:ホラーテラー Rの弟のDさん

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