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短編2
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零感に感謝

初投稿です。怖いのに慣れてる方にはあまり怖くないかもしれないですが、零感のわたしには怖すぎた話をさせて下さい。

中学から高校2年まで住んでいたマンション。そこから実家となる今のマンションへ越して間もなく、母から聞いた話。

高校2年まで住んでいた神奈川県横浜市のNコーポラス、間取りは3DK、母子家庭とは言え、母も兄も頑張ってくれていたので、それぞれに部屋が割り当てられた住まいで、高校生の私は誰に気兼ねするでもなく、深夜までポケベルでやりとりをしたものだ。

母曰く、『出る』家だったらしい。

母も実体を見たことはないらしいのだが、夜中にダイニングテーブルに置いてある新聞を『パサッ』と落とす音、冷蔵庫を閉める『パタン…』という音、『パチンッパチンッ』という音…(俗に言うラップ音?)

そう言えば、朝食を取っているときに兄と私に

「アンタたち、昨日遅くまで起きてた?」

と聞かれることがよくあった。

兄は一度寝たら朝まで起きないし、私も起きてはいたがリビングでそんな音がしているなんて知る由もなく、

「起きてたけどずっと部屋にいたよ?」

と答えていた。

そんな母が、いつものように夜寝ていると、やはりいつものような様々な音が聞こえる。

気味が悪い…と思いながらも、毎日のことで慣れていたらしくそのまま寝ていると、スーッと襖が開くような音がした。(母の部屋は和室)

と同時に、体が動かなくなる。

続いて、掛け布団の隅を誰かに踏まれる気配。それも、遠慮がちに、寝ている母を起こさないようにしているかのような。

けれど、近づいてくるその感覚。慣れてしまったとは言え、自室で、しかも初めての金縛り。さすがに恐怖心をおぼえた母は、

「やめてーーーーーっ」

と大声を出した。

すると金縛りは解け、気配も消えたらしい。

それ以降も様々な音は聞こえていたらしいが、自室に入られることはなく、そして引越し。

引越した先で淡々と

「怖かったわよー、あのときだってほんとに声出せてたのかハッキリしないしねぇ。でも寝ぼけてたとかじゃないね、あたし寝つき悪いからあの日も目覚めてたし。」

とケラケラ笑う母に、

「どうして早く言ってくれなかったのー!!」

と喚くわたし。

母は引越す前にそんなことを話したらわたしが怖がる、と思って話さなかったらしいのだが…

お母さん、あたしウソついてた。

『起きてたけど、ずっと部屋にいたよ?』

あれウソ。

ポケベルにハマっていた当時のわたし。リビングで親機を操作すると、『ピッ、ポッ、ピッ…』って音が出てお母さんに怒られるから、親機を自分の部屋まで運んでた。

寝つきが悪いお母さんが、ちょっとの音でも起きること知ってたから、それはそれは慎重に。

自室まで、10分くらいかけて。

『何か』がいる深夜のリビングから、ゆっくり、ゆっくりと。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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