ホラーでは無いかもしれないが、俺的にはホラーだった話
中学三年の頃
俺は反抗期真っ盛り
特に母親に反抗していて呼び方が「母さん」から「オカン」に変わった
そんなある日の日曜日
俺が気持ちよく寝ていると部屋の外でなにやらガサガサ音が聞こえる
俺(ガサガサうるさいのぉ誰じゃ?)
時計を見るとまだ朝の8時だった
眠りを妨げられて若干不機嫌なまま戸を開けた
オカンが台所で何かを探しているようだ(俺の部屋は台所に直結している)
俺「ガサガサうるさいわ!」
母「起きたんね。ちょっとそこ見てみ」
母が指差した先には円筒形で高さ60cmほどのアルミ製ゴミ箱がある
俺「ゴミ箱がなんじゃいうんな?」
母「中見てみんさい」
俺はゴミ箱の中を除く。するとそこには子鼠が一匹いた。どうやらゴミ箱に入って出られなくなったようだ
俺「鼠ってこうして見ると可愛いな。で、どうするん?」
母「今ちょっと……あぁあったあった」
母が取り出したのはインスタントコーヒーの空き瓶だ
母「はい邪魔邪魔」
母は俺を押し退けると、瓶の蓋を開けてそのままゴミ箱の中に腕を突っ込んだ
ガタガタッガンッザザザッ
母と鼠が闘っている
俺は唖然とその光景を見つめた
母「よっしゃ捕った!」
母の勝利だ。鼠は瓶の中に閉じ込められている
母「あとは……」
そう言うと母は瓶の蓋を少しだけ開けて水を中に注入しだした
俺「えっ?えっ?えっ!?なんしとん!?」
母「馬鹿じゃねあんた。殺すんじゃが」
俺「か、可哀想なで……」
母「なに言うとん鼠ピッタン(トリモチ)で捕ったんもどうせ死ぬんじゃけ一緒よ」
そうこう話しているうちに鼠は動かなくなっていた
母は動かなくなった鼠を瓶から取り出すと、おもむろにギュッギュッと鼠を握った。水切りをしているようだ
俺は無言でそれを見つめていた
母「……燃えるごみでええか」
母はそう呟やき一階におりようとする
俺「オカ……母さん」
母「なんねぇ?」
俺「て、手は石鹸で洗った方がええよ」
母「わかっとるわいねぇ」
俺は鼠を掴んで階段をおりる母の背中を見送る
こうして俺の反抗期は終わりを告げた
怖い話投稿:ホラーテラー Mさん
作者怖話