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中編3
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山の中の小屋

今から20年位前、高校時代の話です。

当時、同じ学校に通っていたA君と共につるんでいました。

僕も彼も大人しく体格も小柄だったため、他のクラスメートとは馴染めずに、2人でゲームセンターに行ったり書店に行ったりして、

何となくぶらぶらしていました。

ある日の放課後、学校から自宅まで自転車で6Kmの道のりをA君と一緒に走って、買い食いや立ち読みなどをして時間を潰しながら帰途に付いていました。

その途中、林に覆われた小山が見えました。

どうせ家に帰っても暇なので、「あの山の辺りを自転車で回ってみないか?」と二人で未舗装の道を自転車で入り込んで行きました。

僕らが住んでいた地域は郡部にあたり、山の合間に畑と田んぼが多く、駅前の一部以外は小さい商店と住宅が所々にある程度の田舎です。

舗装道から一歩外れると、山道のような未舗装の道路があちこちにあるような所でした。

山への道を進むと、午後四時にも関わらず杉の木が密集しているせいで薄暗く、

(余計なお世話かもしれませんが)見るからに生活が不便そうな場所にぽつぽつと民家が建っていました。

さらに進むと、もう民家もなくなり、祠や木の標識がたまにある程度になりました。

次第に傾斜がきつくなり、道も悪路になってきたので、自転車を降りて途中から歩くことにしました。

僕はだんだん面倒臭くなってきたので根を上げ出しました。

「なあ、もう帰んねえか?」

「なんで?ここまで来たのに」

「この先に何かあるわけじゃないのに進んでもさ」

「それもそうだけど…なんか負けた気にならね?」

「は?何に?」

「頂上に行かない事にさ、どうせ小さい山だし」

どうやらA君はここまで来たので意地になっているようでしたが、特に先へ歩く目的もなさそうでした。

(今思うと、中高生時代の、特に男子はこういう変な幼稚な部分が、まだ結構残っています。)

自転車を降りて歩き始めて15分くらいすると、一般道を歩いて山に登るのが飽きてきて

途中でさらに暗く狭い小道になっている、脇道のほうへ歩き出しました。

「頂上行くの止めたのか?」

「なんか疲れたし…探検だ探検」

僕自身もだんだん途中から面倒臭くなってきたし、どのみち帰宅しても特に用事もなかったので

彼に付いていきました。

小道を歩いていると、雨に当たってくたびれたビニールの紐とか、放置された腐った木材が置かれていたりして

この道はしばらく誰も通っていないように思えました。

20分ほど歩いていると、横の林の奥に何かあるのが見えました。

A君は前ばかり見ていて気付かなかったようですが、僕は注意散漫になっており周りをキョロキョロしていたので、

自分だけ気付いたようです。

「なあA、あれ何だ?家みたいだけど」

「ん?物置か何かかな?」

「ちょっと行ってみるか」

小道から林の中へ50mほど歩くと、その建物に辿り着きました。

建物とは言っても、ちょっとした小屋程度の小さいもので、外見上は長年風雨に晒されて外壁が汚くなっていました。

周りを一周して気付いたのですが、入口が引き戸式になっている他は、窓はどこにもありませんでした。

「なんだこれ?物置とかかな?」

「営林署とかが使う用具とか置いてあるんじゃない?」

適当な推測をしながら、好奇心に負けてちょっと開けてみることにしました。

重い引き戸を力任せに開けると、中は暗くて良く判りませんが、カビ臭い匂いが漂ってきました。

さすがに勝手に入る気は起きませんでしたが、中をじっと見ているとだんだん目が慣れて来て、外の光が入り込んでいる部分が見えてきました。

手前の方が用具などがごちゃごちゃ置いてあり、奥の方に寝床らしきものがありました。

何が置かれているのだろうとよく見ると、用具だと思っていたのは、主に動物の罠とか鎌・ナタなどでした。

脇に小さい書棚があり、ちょっと中に入って見てみたい衝動に駆られましたので、数歩入り込んでタイトルを見ました。

奇形とか食人の話とか、悪趣味なものが並び、他は薬物とか人体解剖とか医学書まで含まれて難しそうなものが多かったです。

壁には小さい祭壇のようなものが飾られ、読めない文字の書かれた紙がぶらさげられていました。

「なんかこれってさ…」

「気持ち悪いな…」

怖い話投稿:ホラーテラー 20年前は高校生さん  

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