これは私の友達から聞いた話です。
本当にあった話だそうです。聞いて下さい。
主人公をAとします。
Aは大学生で他県の大学に進学していましたが、夏休みということで地元に戻っていました。
夏休みは、地元の大学に進学した高校の頃の友達3人と、毎日のように遊んでいました。
そんな真夏の夜。
ひょんなことから肝だめしをしようという話になりました。
A「どーせ、肝だめしするならあそこにしようぜ」
友達B「えっ、あそこってK町の廃病院のことか?」
A「うん。K病院だ。」
私たちの地元では、心霊スポットならK病院というくらい有名な場所でした。
しかし、相当危ないと噂の場所(本当に霊がいるとか、麻薬の密売場所であるとかヤクザの所有している土地になった等様々な噂)であるため、なかなか近づこうとする人はいなませんでした。
友達C「いいねー。おもしろそーじゃん!!」
友達B「そうだな。暇潰しに丁度いいな。行くか!」
Aの提案に友達B、Cも乗り気だったが、Dだけは反対していました。
友達D「やめようよ。嫌な予感がする。絶対危ないって…」
Dは、高校生の頃からどこか臆病な所があり、気が小さく、こんな性格なため、この4人のグループの中ではいじられ役でした。
A「大丈夫だって!死ぬわけじゃあるまいし…」
友達B「そうだぞ。お前はいっつもノリ悪りーな!」
友達C「ちゃちゃっと行ってすぐ帰るよ!」
友達D「…わかったよ」
最期まで嫌がっていましたが、Dは渋々行くことを承諾しました。
時刻は夜中の一時。
K病院は、車で20分程度の場所にあるので、Bの車でいくことにしました。
地元は自然が多く、廃病院は町から少し離れた山のふもとに、病院としての機能を停止してから20年近くもの間そこに佇んでいました。
病院に近づくにつれ、
異様な雰囲気が私たちを包んでいきました。
真っ暗闇の中に、そびえ立つコンクリートの塊が見えました。
Aに、何か言い知れぬ恐怖感が襲ってきました。
それは他の3人も同じでした。
友達B「…じゃ…じゃあさ、ジャンケンで負けた奴があの部屋に行って手を振ろうぜ。」
Bは廃病院の二階の真っ正面の部屋を指差して言いました。
正直、皆、この空気に押し潰されそうで、もう帰りたくてしょうがなかったのですが、ここまで来たのだからと渋々ジャンケンをしました。
案の定、あの臆病なDが負けて行くことになりました。
D以外の3人は車の前で待ってることにしました。
友達C「あいつ大丈夫かな」
友達B「どーせ途中で引き返して来るだろ」
こんな事を話しながら待ちました。
5分経ち、
10分経ち、
15分経ち…
戻って来る気配も、
窓から手を降る気配もありません。
20分余り経った時、いくらなんでも遅いと廃病院の中へ探しに行こうとした時、廃病院から「おーい」と声が聞こえました。
懐中電灯で部屋を照らして見ると、確かにDです。
にこやかに大きく手を振っている姿を見て皆、一安心しました。
が、
その瞬間、目を疑いました。
Dの手の後ろで青白い手が手を振っているのです。
Dの片手は間違いなく窓に手をつけています。
A達は焦って、Dに早く降りて来るよう叫びました。
A「おい!!もーいいから早く戻って来い!早くっ!!」
Dは怪訝な顔をしながらも、急いで帰ってきました。
皆「お前…大丈夫か?」
友達D「うん。何ともないよ。」
幸いDは無事な様子でしたが、皆気分が悪くなったので帰ることにしました。
Bはこの後何かあったら心配ということで1人ずつ各家に車で送ってくれました。
Aはこの事件で、今後軽はずみに心霊スポットへ行くことはやめようと決意しました。
しかし、
2日後の朝早く、Aの家に思いもよらない電話がかかってきました。
Dの母からの電話でした。
“あなたたちと遊びに行ってから家に帰ってこない。携帯電話にも出ない。一緒にいるのか?”
という内容でした。
そんなバカな…
Aは耳を疑いました。
確かに一昨日の夜Bの車で家まで送り届けたはず…
Aは友達BとCの3人で、早朝にも関わらずあの場所へと急ぎました。
廃病院の二階。
そこにDは居ました。
首を吊って死んでいました。
何故か顔は、にやりと笑っているように見えました。
後日、警察の方々から聞いた話によると死亡推定時刻は、まさしく肝だめしをしていた時間で目立った外傷はなく、自殺だということでした。
あの時、Dに何が起こったのか。
そして、車に乗せて行ったDはいったい何者なのか。
未だにわからない謎です。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話