予知夢体質とでもいうのだろうか。
僕はよく予知夢を見る。
たいした夢ではないのだ。
電車から乗客が降りてくるときに自分と肩がぶつかる。
弁当のおかずが端によっている。
そんなどうでもいい夢だ。
やけにはっきりと覚えている。
いや、やけにはっきりと思い出す。
もしかして、今見ている光景は一度夢で見たのではないか。
そんな妄想に囚われる。
その日も夢を見た。
僕はエレベータに乗り込み、閉 のボタンを押す。
閉まる扉の間から一人のおじいさんが見えた。
こっちへ来る。
どうせ間に合わないのに。
だから僕は 開 のボタンを押した。
「ありがとう」
おじいさんが礼を言った。
そこで夢が覚める。
(どうせ、いつもの夢だ)
その時はそう思った。
マンションのロビーへと続くエレベータ。
ある朝、僕は一人で乗り込んだ。
(あぁ、キタ)
突然この前の夢を思い出した。
ハッキリと。
この感覚はいつまでたっても慣れないものだ。
マンションのロビーへと続くエレベータ。
ある朝、僕は一人で乗り込んだ。
(あぁ、キタ)
突然この前の夢を思い出した。
ハッキリと。
この感覚はいつまでたっても慣れないものだ。
僕は 閉 のボタンを押した。
(きっとおじいさんが来る)
おじいさんがやってきた。
(きっと僕は 開 のボタンを押す)
僕は 開 のボタンを押した。
(きっとおじいさんは礼を言う)
「ありがとう」
おじいさんが礼を言った
(またいつもの予知夢か・・・)
「これで二回目ですね」
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話