「今入ったニュースをお伝えします。今日午後9時頃、埼玉県N市の路上で、女性が何者かに刃物で刺され死亡しました。犯人の男は現在も逃走を続けていると思われ、埼玉県警は男を捜索中です」
ニュースを見ていた姉妹は、自分達が住んでいる市内で殺人事件が起きた事を知り、急に怖くなった。
しかも家からすぐ近くの路上だ。
運が悪い事にちょうどその日、両親は家にいない。
その事が二人の不安をさらに大きくする。
ニュースの内容が内容だけに、姉はある事を思い出した。
鍵を閉めたかどうかだ。
姉「鍵閉めてたか確認してくるね」
妹「うん。犯人来たら大変だからね」
姉妹は姉が16歳で妹が10歳。
二人で留守番するにはまだ危険な部分も見える。
姉が戻って来た。
姉「鍵閉めてなかったよ。危ない危ない」
妹「お姉ちゃんちゃんと閉めてよね」
姉「ごめんごめん」
そのあと二人は寝るために2階に上がった。
妹はさっそくベッドに横になる。
姉は妹のベッドから少し離れた自分の机に座り、今日授業で習ったところの復習を始めた。
その時妹が話しかけてきたので振り返る。
背筋が凍った。
妹「お姉ちゃん明日学校行くの嫌だよ。休んでいい?」
姉「だ…駄目よ。ちゃ、ちゃんと行かないと」
妹「え〜」
姉「そ…うだ下に行ってアイス食べようか」
妹「うんアイス食べたい」
そういって二人で階段を下りる。
途中で姉の足が速くなる。
下について妹が冷蔵庫に向かって行ったので、姉はその手首を掴み、玄関へと引っ張って行く。
二人は外に出た。
妹「お姉ちゃんアイスは?」
姉は何も言わず走り出し、近くに止まっていたパトカーの窓を叩いた。
警官「どうしました?」
姉「家…家に殺人事件の犯人の男がいるんです!」
警官「何だって!」
姉はその男がニュースでやっていた殺人事件の犯人だと確信していた。
二人は警官に保護され、パトカーに乗った。
「犯人は家のどこにいるんですか?」
姉「…ベッドの下です」
警官「わかりました!すぐに確認します」
警官が無線で応援を呼んでいる。
妹「お姉ちゃん怖いよ」
妹も話しを聞いて怖がっているようだ。
姉は2階で犯人を確かに見た。
妹が横になっているベッドの下に…仰向けになり血のついた包丁を胸の上で握りしめている男を…
その部屋から抜け出すために、アイスを食べようと妹を誘ったのだ。
姉はベッドの下の男を見た時、ほんの一瞬だけ目があっていた。
男が何もしてこなかったのは運がよかったからかも知れない。
男はそのあと逮捕された。
姉妹は奇跡的に無事だった。
怖い話投稿:ホラーテラー 黒猫さん
作者怖話