短編1
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中年男性

霊的な話ではないんですが。

今仕事をしている場所で変わった人がいる。

白い汚いタンクトップに短パン、サンダル姿の中年男性。

毎日昼頃に家から出てきては公衆電話に入り小銭をいれどこかに電話をしている。

ボタンを押す指はとても遅い。番号ひとつひとつを連絡先が書かれているであろうボロボロの紙を見ながら押す。押し終わると紙をポケットに入れ相手が出るのを待つ。

けれど、いっこうに会話をしている様子はなくしばらくすると受話器を置く。すると小銭が返却される音がする。誰とも話してないのである。

そして彼は返却された小銭をとりだし数分ほど何もせずにただ公衆電話の中で固まっている。

これを何度か繰り返し、30分ぐらいすると公衆電話からでていく。

多い日ではこの行動を3回ほどする。しかし一度も会話をしている姿を見た事がない。

私は彼を観察した。よく観るとボタンを押す時、彼の指は必ず震えている。そしてタンクトップから見える背中や腕には色が入っていない刺青があった。

日に日に電話をかける階数が増える。心なしかイライラしている。目が血走り始めた。普通じゃない。毎日毎日、何度も何度も電話をする彼は一体何者なんだ?

最近は彼を見るだけで身震いするようになった。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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