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短編2
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カラス

家でTVを見てくつろいでいた、とある休日。

あれは確かまだ明るい、昼下がりのこと。

開けっ放しの窓の向こうから、外でカラスの大きな鳴き声が聞こえた。

ただ何度か鳴くだけなら、気にもとめなかったと思う。

だけどその時のそれは、どうも違った。

妙に鳴き声は大きいし

なにか叫ぶような、わめくような、そんなふうで。

しかも聞いていると、一羽だけではなさそうだ‥

そんなわけで気になったので、立ち上がって窓から確認してみた。

見ると、家の前にある道路を挟んで目の前にある向こう、そう遠くない場所の電線や電柱の上に、たくさんのカラスがとまっていた。

今思えば不気味だけれど、当時の自分は「カラスの集会かな?」なんて軽く見てた。

カラスがすぐ向こうにたくさんいるのを確認した後は家の中に戻り、またTVを見ていた。

だけど聞こえてくる

やっぱりカラスが鳴いている。

変わらず大きな声で。

何を思ったか、TVの前に座ったまま、自分はそのカラスの鳴き声に応えて、鳴き声をマネして返してみた。

すると、カラスから鳴き声が返ってきたような、そんな気がした。

面白がって、しばらく返しては、あちらが鳴いて‥みたいに続けていると‥

急に、自分のマネとは関係なく、カラス達がギャーギャー鳴き出した。

もう本当に、ギャーギャーと。

その異常な騒がしさに、自然と面白がってマネしていた口は閉じる。

びっくりしたものの、ケンカでもしてるのだろうか?と思ったくらいで、そのうちその騒がしさもおさまっていた。

次の日、

あのカラス達を見た窓から、カラス達のいた下の家の門を見て、怖くなった。

そういえば、「カラスは不吉だ」などと聞いたこともある。

全く信用していなかったから、意識していなかったけれど。

カラスが不吉なものを持ってくるとは考えないが、不吉なことを感知するというか、そういう事はあるのかもしれない‥そう思わせた。

あの時、軽はずみに鳴きマネを返して、ギャーギャーとあの鳴き声を助長させてしまった感は、なんとも後味が悪かった。

あれ以降、面白がってカラスの鳴き声に応えようなんて思わないし、できればもう、あんなふうにギャーギャー鳴く声は聞きたくない。

怖い話投稿:ホラーテラー fogさん  

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