以前住んでいたアパートは、
古いわりに結構いいところに建っていたので、家賃が若干高かった。
その為か、大家と俺と隣に人がいるだけで、
他は空き部屋だった。
周りは所謂閑静な住宅街だったし、
隣の住人もテレビなどをほとんど見ない人らしく、
する音といえば部屋の出入り、水を流す音、料理を作る音くらいだった。
大学やバイト先へのアクセス、静かな環境は自分的には理想だった。
ある日、バイト仲間とシフトを変わった俺は、
いつもよりも早めに帰宅した。
特に何もすることが無いので、だらだらとネットをしていると、
隣の部屋から物音がしていることに気づいた。
「トトトンッ トントントン トトトンッ ・・・・」
しばらくすると、隣人が帰宅する音が聞こえた。
すると、その音はやんだ。
少し気になった俺は、隣人にたずねてみることにした。
--ピンポーン--
すぐに隣人が出てきた。
隣人「はい?」
俺 「ども、こんばんは」
隣人「あ、ども。どうかしました?」
俺 「さっき帰ってくる前にそちらの部屋から音がしてたんですけど・・・」
隣人「あ、すいません。実はちょっと内緒なんですが、ハムスター飼ってまして・・・」
隣人は、財布の中から古いハムスターの写真を出して俺に見せてくれた。
俺 「あ、かわいいですね。でも、ここって一応・・・」
隣人「はい、なので、内緒にしておいてもらえます?餌を切らさなければ大人しくしてるので」
俺は隣人と世間話をして部屋へ戻った。
翌日から、例の物音がすることは無くなった。
その代わり、
「カララララッ」
と言う音がたまにするようになったが、特に気になるほどでもないので放っておいた。
怖い話投稿:ホラーテラー 三日月キリンさん
作者怖話