たとえば夜、自室でベッドに寝っ転がり携帯を弄る。一日の終わりに、だらんと超リラックスなモードでホラテラなどを見たりする、そんな状況での話。
もう寝ようか…、と思いつつも携帯を手放せず、サイトからサイトへと暇潰しの閲覧を繰り返していた。
既に部屋の電気も落としているため、携帯電話の光だけがぼやんと点っている。
なかなか眠気はやってこず、まあ携帯ばっか見てて当たり前か、と嘆息しフリップを閉じる。
パチンと音がして暗闇が訪れた。
明日の予定などを思い起こしている時に、あぁと思い出した。
(携帯目覚ましセットしてないな…)
もぞもぞと手だけを動かして掴んだ携帯を、顔の前まで持ってくる。
微かに携帯が引っ張られる感覚が手を通して伝わった。が、別に気にしない。
ヘッドボードのコンセントに繋ぎっぱなしにしてある充電コードが引っ掛かってるだけだ。
目覚ましをセットして、ついでにメールをチェック。さっきしたばっかりだから新着はなし。
持ち上げたままの腕が疲れてきたので寝返りを打って回避した。
と、脇の下あたりに何かが触れる感触があり、殆ど無意識でそれを払った。
(充電コード邪魔…)
もう一度目覚ましの時間を確かめてから、やれやれと頭の後ろ辺りへ携帯を放り投げた。
さあもう寝る寝る、と心の中で呟いたのに、またも思い出す。
(しまった。明日って請求締め切りだっけ…?)
仕事に関わる要件を確かめるべく、再び携帯を手に取った。
事前の確認を怠ると有り得ないほどイージーミスを連発してしまうので、携帯のカレンダーとスケジュール帳には必ず書き込みし、尚且つやることリストも作ってある。
ベッドの上で身を起こし、ついでにサイドランプも点けた。
明日やることを頭に叩き込み、安堵の溜息。
そして気が付いてしまう。
(充電コードが繋がってない…)
しばしぼんやりと考えた。
そういえば今日はコードを携帯に差し込んだ覚えがない。
(忘れてたのか。気が付いてよかった…)
思いつつヘッドボードを振り向くとそこには充電コードがとぐろを巻いている。
(あれでもさっき…)
暗闇の中、手探りで引き寄せた携帯。
引っ張られる感覚と脇を触ったコードの感触。
(んん??)
見えてなかったけど確かに繋がっていたはず。
うん。見えてなかった。
(じゃあ、いったい何が携帯と繋がっていたんだろ…)
呆然と、手に持ったそれを見下ろした。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話