【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

短編2
  • 表示切替
  • 使い方

会社への来訪者

今から2年前、俺が県議会議員に立候補してた選挙中の話。

まだ暑い日、ワゴンに乗って駅前で通勤途中のサラリーマンとかに挨拶して

他の選挙スタッフと一緒に選挙活動をしていた。

メガホンマイクを片手に、演説を行った時に気付いたが

見るからに真面目そうな七三分けの30歳前後の男性が、熱心に話を聞いていた。

一息付いた後、ワゴンで移動している途中に喉が渇いたので

道路脇に駐車してもらって、スタッフと一緒に自販機でジュースを買って

とりあえず休憩という形で、煙草吸ったりジュース飲んだりした。

その時、後ろから先ほど駅前で熱心に演説を聞いていた男性が歩いてきて、

こちらに挨拶をしてきた。

今後の活動、主に市政への取り組みについて色々質問してきて、とても嬉しかった。

俺は彼に、花咲く未来について説明をした。

一週間後、少し前まで役員をやっていた会社に出て

夜遅くまで、夜遅くまで引き継ぎしきれなかった資料の整理をした。

立候補する前に既に辞めたが、昔からの馴染みで、社員も40人位しかいない会社だったので

後で鍵を返しに来るという口約束をして、自分以外で最後まで居残りしてた社員も

途中で帰宅していった。

会社には自分一人。

夜11時頃にインターホンが鳴った。

「○○さんはご在宅でしょうか。」

会社に在宅というのもおかしいが、誰なのか聞いたら昼にあった男性で、

説明の続きを聞きたいということだった。

なんでこの会社に残っていたのがわかったのか不思議ではあるが、誰かから聞いたのだろう。

とりあえず裏の通用口を開けて招き入れた。

部屋に入れた途端、男性は開口一番

「あんたうるさいんだよ」

「は?」

「駅前で声張り上げて迷惑してるんだよ」

「???」

昼の好意的な態度とは急変して、言っている事は全て敵意を剥き出しにしていた。

「朝早くからメガホンで騒音流して何やってんだ?」

「うるさくて頭痛がするんだよ」

「人の迷惑を考えたことがあるのか」

「何だあの態度は?ふざけているのか?」

夜遅く二人きりで、こんな目がいちゃってる人と同じ部屋の中。

おまけに相手はドアのすぐ前に立ちふさがっている。

こいつ、話が全然通じないし、何でこんな攻撃されるのかさっぱり理解できない。

これって、相手が凶器とか持ってたらかなりやばい状況じゃないか。

いや、まだ出さないだけで、実際に何か隠し持っているんじゃないか?

何とか、うだうだと話を逸らした挙げ句に、2時間程で帰って貰うことができたが、

あの時は本当に恐怖で生きた心地がしなかった。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete
コメント怖い
00
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ