今から2年前、俺が県議会議員に立候補してた選挙中の話。
まだ暑い日、ワゴンに乗って駅前で通勤途中のサラリーマンとかに挨拶して
他の選挙スタッフと一緒に選挙活動をしていた。
メガホンマイクを片手に、演説を行った時に気付いたが
見るからに真面目そうな七三分けの30歳前後の男性が、熱心に話を聞いていた。
一息付いた後、ワゴンで移動している途中に喉が渇いたので
道路脇に駐車してもらって、スタッフと一緒に自販機でジュースを買って
とりあえず休憩という形で、煙草吸ったりジュース飲んだりした。
その時、後ろから先ほど駅前で熱心に演説を聞いていた男性が歩いてきて、
こちらに挨拶をしてきた。
今後の活動、主に市政への取り組みについて色々質問してきて、とても嬉しかった。
俺は彼に、花咲く未来について説明をした。
一週間後、少し前まで役員をやっていた会社に出て
夜遅くまで、夜遅くまで引き継ぎしきれなかった資料の整理をした。
立候補する前に既に辞めたが、昔からの馴染みで、社員も40人位しかいない会社だったので
後で鍵を返しに来るという口約束をして、自分以外で最後まで居残りしてた社員も
途中で帰宅していった。
会社には自分一人。
夜11時頃にインターホンが鳴った。
「○○さんはご在宅でしょうか。」
会社に在宅というのもおかしいが、誰なのか聞いたら昼にあった男性で、
説明の続きを聞きたいということだった。
なんでこの会社に残っていたのがわかったのか不思議ではあるが、誰かから聞いたのだろう。
とりあえず裏の通用口を開けて招き入れた。
部屋に入れた途端、男性は開口一番
「あんたうるさいんだよ」
「は?」
「駅前で声張り上げて迷惑してるんだよ」
「???」
昼の好意的な態度とは急変して、言っている事は全て敵意を剥き出しにしていた。
「朝早くからメガホンで騒音流して何やってんだ?」
「うるさくて頭痛がするんだよ」
「人の迷惑を考えたことがあるのか」
「何だあの態度は?ふざけているのか?」
夜遅く二人きりで、こんな目がいちゃってる人と同じ部屋の中。
おまけに相手はドアのすぐ前に立ちふさがっている。
こいつ、話が全然通じないし、何でこんな攻撃されるのかさっぱり理解できない。
これって、相手が凶器とか持ってたらかなりやばい状況じゃないか。
いや、まだ出さないだけで、実際に何か隠し持っているんじゃないか?
何とか、うだうだと話を逸らした挙げ句に、2時間程で帰って貰うことができたが、
あの時は本当に恐怖で生きた心地がしなかった。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話