これは僕が実際に体験したお話です。
これは僕がわりと大きなリサイクルショップで働いていた時の話です。
僕がアルバイトをしていたリサイクルショップは、古本の漫画や文庫本などをメインに取り扱っていました。
ただ、書籍に関しては近所の高校生たちや転売目的の万引きで経営が苦しい状態だったそうです。
数十万円の防犯ゲートを購入したり、防犯カメラを導入したのですが、効果はありませんでした。
ついに赤字経営は限界に達してしまい、翌月には閉店する予定でした。
しかし、翌々月にもお店はありました。
社長(64)が自殺し、その保険金を使って長男(店長)が存続させたのです。
店長は2ヶ月間お店に現れませんでした。
亡くなった社長の遺言で、ひたすら何かを作っていました。
お店に現れた店長は別人の様でした。
目は血走り、顔は蒼白で優しい表情は面影を無くし、まさに鬼の形相でした。
「これを全ての本に貼れ」
「絶対に見えない場所に」
そう指示を出し、膨大な数の小さな紙の束を置いていきました。
新しい防犯シールかな?と小さな紙を見てみましたが、普通の用紙にびっしりと小さな赤い文字が書き込まれていただけでした。
肉眼では読めないくらい小さな赤い文字が気になり、僕は何が書いてあるのかを店長に尋ねました。
「見たら殺すぞ」
そう言いながら僕を睨んだ店長の目は本気でした。
数ヶ月かかり、5万冊の書籍全てに紙を貼り終えると
「今日からは万引きを捕まえなくていい」
と店長が指示を出しました。
貼り終えてから1ヶ月ほど経った頃です。
テレビを見ていた僕の目に信じられないニュースが飛び込んできました。
通学中の学生の列に暴走車が突っ込み、3人が死亡。
死んだのは万引き常習犯だと思われる生徒達でした。
このニュースをきっかけに、次々と事件が起こりました。
パチンコ店の駐車場で車内に乳児を放置し、死亡させた母親を逮捕。
高校生が男性教師を刺殺。
ハンドル操作を誤り対向車と正面衝突、家族全員が死亡。
家屋全焼、2階に取り残された次女が焼け跡から見つかる。
…ニュースで流れるその顔は、万引き常習犯としてチェックしていた人達でした。
事件にならない人達もいました。警察が「この人物を最後に見たのは?」と捜査で写真を持ってきました。
行方不明だそうです。
しばらくして店長が首吊り自殺をしました。
遺書には一言だけ…
「復讐を果たした」
と書いてあったそうです。
遺族の親戚が店舗の経営を引き継ぐ事になり、新しい店長が来る前日です。
僕は気になっていた紙に書かれていた小さな文字を確かめてみました。
ルーペを使い、小さな赤い文字を読みました。
…本を返せ盗んだ返せ鬼畜を返せ必ず返せ殺す返せ死んで返せ償え返せ刃物で返せ切り返せ刻む返せ身体を返せ引き裂き返せ頭を返せ砕き返せ肉を返せ潰す返せ呪い返せ死ね返せ地獄に返せ堕ち返せ業火で返せ焼かれ返せ永遠に返せ苦しめ返せ…
僕は目を疑いました。
恐らく店長が自分の血で書いたんだと思いました。
店内を見渡すと、照明が暗く感じました。
棚に並べられた本からはどす黒い怨念を感じます。
全ての本に僕がこの紙を貼ってしまったんです。
恐ろしい事実を知った僕はすぐにお店を辞めました。
そして僕は自責の念に苛み、警察に全てを話しました。
新しい店長(親戚)も警察署に呼ばれ、店舗の本を確認して貰いました。
結果…「事件との関係は認められないが、悪質である」と全ての紙を自主的に撤去するようにと命じられました。
この事件でアルバイトスタッフ全員が翌日に退職しました。
そして数日後…
この店舗は不審火により全焼したんです。
呪いの紙と一緒に…
最後に投稿した理由です。
「ブックカース」は元々、聖書や聖典を盗んだ者に災いを招き、死に至らしめる呪いです。
火事で全焼する直前に新しい店長が、お店にあった本の一部(数千冊)を問屋に転売している可能性があります。
この行為は亡くなった先代達には、盗んだと同じです。
転売したものは売れ筋の文庫本と漫画です。裏表紙に小さな赤い文字が書いてある紙が貼ってある本がありましたら、すぐに焼き棄ててください。
僕の為にもお願いします。
怖い話投稿:ホラーテラー 現在リーマンさん
作者怖話