俺が朝起きて炊飯器を片手にテレビを観ていたら、茶の間へ表情の父親が入ってきた。
友人Aは問い掛けた。
「呪われた歴史を打ち破るにはどうするべきか?」
父親は言った。
「この家に伝わる源頼朝の石像が押入にある。それを岐阜の山奥へ…」
テレビをみると、重大事件が特集されていた。
一刻の猶予もないと俺たちの間には緊張感が走った。
俺と友人Aはタクシーに乗って岐阜に向かった。
途中のコンビニで、奇妙な集落を見つけた。
巫女と神主が海岸沿いで、山の神への祈りを捧げていたのだ。
友人Aは勇気を出して聞いてみた。
「頼朝の石像にまつわる話が聞きたい。」
神主はそれを見て驚くべき事実を打ち明けた…。
80年ほど前、このあたりがまだダムの底に沈む前、大きな竹藪があった。
その竹藪の奥には、見た事もない刀が置かれていたそうである。
神主は言った。
「刀を制する者、日本を統べる力を是非我らに…」
そこまで言った途端、神主は息絶え、あとから村の古老が酒を持ってやってきた。
「私についてこい…」
俺と友人Aはタクシーに乗り、竹藪に向かった。
そこには刀が置かれてあり、ひとつ振り回せば地面が綺麗に切れる、すばらしい切れ味だった。
父親は言う。
「この刀こそが、頼朝の怨念を打ち砕く武器となりえる」
神主と共に、友人Aは刀を持って丘の上に上がった。
石像を探すために…。
空が暗くなり、雨が降ってきた。
しとしとと湿った空気が漂い、俺たちは洞窟へ避難した。
そこは平治の乱で、頼朝の父、義朝が雨を凌いだ場所だった。
友人Aは、洞窟の奥へ奥へと入り、白装束を纏った血だらけの幽霊を見つけた。
幽霊は、地面を指差す。そこには田んぼがあり、稲があった。
神の米…
そう、この神の米を使った儀式で頼朝を呼び起こすのだ。
深い恐怖の怨念は、その儀式で打ち砕く…。
石像を片手に俺たちの間に衝撃が走った。
雷が鳴った。
タクシーに乗って岐阜に行こうとした時、北条氏と名乗る通りがかった村人が言う。
「この先に進むと孫の代まで取り憑かれる。」
それでも先へ行かなければならない。
コンビニで缶コーヒーを買い、つかの間の休息を味わった。
駅を出て岐阜に着くと、禍々しい石像がそばにあった。
「この石像こそが、頼朝の定め」
父親は集落を見ながら涙を流した。
「今のこの世があるのも頼朝の力なり。山奥へ進むことが我の使命」
俺と友人Aは知った。
もう既に父親は事切れていたと。
山奥の頼朝は、後光が差していた。
既に呪いは解けたのか?
その時、俺は見過ごさなかった。
友人Aが日本刀で切りつけた時、頼朝は石像を見て呪いの言葉を吐いた。
後光はまやかしだったのだ…。
旅を終えて自宅に着くと、父親が新聞を片手に言った。
「岐阜の山奥で噴火があった。これぞ頼朝の呪いが突破された証である」
今度こそ本当に呪いが消え失せたのだろうか。
神主の言った言葉が頭から離れない。
「石像を持つもの、呪いは永久に付いていくものなのだ」
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話