わかった。
まだ諭すには早すぎたようだ。
皆さんが聞きたい内容は同調し易い身近な内容だろう?
解りにくいと仰る方は仰る方の今までの経験上、理解して想像し、
同調ができる内容ではないから。
少し説明も多すぎた。
何かが足りないと仰る方はある程度諭している。
もう一歩、先をしりたいのだろう?
皆がついてこれるまで待ってくれ。
授業と同じだ。
今回は同調しやすい経験話にする。
次回はリクエストにしよう。
何について諭してほしいのか、どのような経験を話してほしいか教えてくれ。
ちなみに個人は視ないからな。
面倒な事になる。
さて、
恐怖とは経験、知識、常識をもとに作られる。
「思い込み」
不安が重なり恐怖になる。
布団に入り電気をけす。
目を瞑り、今日も暗闇の中で考えてしまうだろう。
いたらどうしよう。
でたらどうしよう。
19時前の夕立。
生温い風が雷をもたらし雨を降らせる。
今日は傘を持っていない。
あと少しで家につく。
間に合わなかった…。
パンツの中までびしょ濡れだ…。
昔のCMではない…。
家に帰りすぐ風呂に入る。
風呂場は入り口を入ると4畳程の洗い場。左に浴槽がある。
集合団地特有の小さな風呂場。
二人は同時に入れない。
正面にシャワーノズルをかけ、下を俯き、頭を洗う。
「ゴロゴロゴロ…バリバリバリィッ!」
雷が落ちた。
徐々にお湯が水になる。
薄目をあけシャワーをとめた。
窓から入り込む街灯が風呂場を薄暗く照らしていた。
停電している。
お湯がでないので下を俯きまつ。
流石に水では風邪をひく。
1分程たってもまだつかない。
「ポタンッ…ポタンッ…」
天井から落ちる水滴の音が響く。
人間は予め起こる事実を予測する。
「身構え」
予め起こる事実を予測し行動に備える。
最悪のケースを考えて。
皆さん思うだろう。
こうだったら、ああしよう。
そうであればこうしようと。
車の、かもしれない運転と言えば想像できるだろうか。
「心構え」
車と同じだ。
予め起こる事実を予測し覚悟する。
ただ、恐怖の場合は無意識に脳が想像させ覚悟させる。
思いが重なり不安になる。
不安が重なり恐怖になる。
「ドクン、ドクン」と心臓の鼓動が聞こえる。
合成のやつはよく出来ていた。
中には当然本物もあったが…。
ふとWebサイトで見た心霊写真を思い出してしまう。
橋の鉄柵の隙間から覗く青白い顔、
河原に立つ全身ずぶ濡れの女、
親子写真には親と子の間に青白い手がうつる。
入浴時の写真には浴槽の水中に漂う青白い顔。
どれも気持ちが悪い。
まだ電気がつかない。
不安が恐怖になる…。
風呂場の空気が重くなり、耳鳴りがする。
ついつい体がかたまり耳をすましてしまう。
「ポタンッ…ポタンッ…ポタンッ………、ドッ…ドッ…ドッ…ドッ…」
水が落ちる音がかわった。
水漏れしている所にバケツをおいた音と同じ。
左にいる。
想像してしまう。
浴槽から覗いている。
心霊写真と同じやつが。
下を俯いたまま薄目をあけ横目で浴槽をみる。
「ゴロゴロゴロ…バリバリバリィッ!」
雷が鳴り響く。
まだ電気はつかない。
思いが重なり不安になる。
不安が重なり恐怖になる。
恐怖が重なり現実となる。
今日もまた、夕立だろうか。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話