僕はいつもどおり学校へ行こうと電車に乗っていました。
その電車の中で、若い女性がなにやら不思議な動きをしています。
僕は端の席に座ったまま、その女性の動きを観察しました。
するとその女性は急に立ち上がり、窓の外を眺めだしたのです。
まだ駅にも着いていないのに。
おかしいじゃないですか。東横線の途中ですよ。山手線ならまだしも。
僕はどんどんその女性が気になってきたのですが、もう8時になるところでしたし、軽く小腹も減ってきました。
このままでは電車は地下に行ってしまいます。
そしたらお昼のお弁当を食べてしまう。僕はどんどん怖くなってきました。
気づくと女性が立った席に座ろうとした老人とサラリーマンが言い合いになっています。
このままじゃ全員やられると思いました。
しかし誰一人、目を合わせようとしないのです。
だから僕は、もう嫌気がさして、耳にイヤホンをつけ、周囲の音が聞こえないようにしました。
するとなんとイヤホンの右からしか音が流れてこないのです。
そうです。左耳に入っていたのはポップコーンだったのです。
あの女性はドアの前に移動していました。
パニックになった僕は隣の車両に行こうとしたのですが、今はあの女性を見失うほうが危険だと思い、
次の駅を待つことにしました。
これほど一区間が長く感じたことは無かったと思います。
そして何気なくあの女性を見た瞬間、僕はとんでもない過ちを犯していたことに気づきました。
なんと、右耳に入れていたのもポップコーンだったのです。
そして左耳にはまだポップコーンが入ったままでした。
僕はゆっくりとそれを口に運び、学校へ向かいました。
糸冬
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話