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短編2
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小麦色に焼けた身体が懐かしく思い出されるあの夏・・・

おれは美容師として全てをぶつけて頑張っていた。

大好きな仕事に大好きな仲間とともに。

しかし、満たされないでいた。

心に穴があいていた。

恋が出来ないのだ。

仕事をしている時間以外、ひとりでいることしかない日々が続いていた。

大好きなドラクエをやりながら、ひたすらひとりの時間から解放される朝日を待ちながら・・・

仕事に向かい、仲間と仕事をし、24時間起きたままのおれ。

サロンワークが終わり、ふと鏡の前の席に着き、いつものようにまたドラクエを始めた。

いつもモンスターと戦い、楽勝なはずが敵が強い。

ふと前を見ると鏡に写る姿がなく、そこには血に餓えたモンスターの姿が・・・

すさまじい刃がおれの腕を襲ってきた。

美容師のおれにとって、腕は命と同じ。

必死に腰にあるハサミで反撃する。

ようやくモンスターをふりきり、ぼろぼろになったおれ。

もう大草原の中心で動けず目を閉じた。

目を開けると鏡の前に座っていた。

身体は激しい痛みに襲われ言うことをきかない。

鏡を覗くといつもの仕事場だった。

しかし、自分の姿がそこには写らない。

ひとりのショートカットの少女がすっと現れた。

「ここはあなたが願っていた世界」

えっ

そこには今までであったこともない可愛い天使がおれに話しかけているではないか!?

立ち上がろうとしても、足が折れていて倒れてしまった。

しかし彼女がおれに触れると身体が軽くなり、自由に歩けた。なぜかその少女との生活が始まった。

時々襲ってくるモンスターも軽く勝てるようになり、傷ついたときは彼女がそっと癒してくれる。

いつの日か、おれは彼女に始めての恋をしていた。

鏡を見るとおれがいない仕事場でおれ以外のスタッフが頑張って仕事をしていた。

「もし、また仕事をしたいならわたしを殺して・・・」

おれのハサミと右手を彼女は自分の首に押し当てた。

「ふざけるな!そんなことできるわけないじゃないか!」

ハサミをとりあげようとすると、激しい寒気が・・・。

とりあげるはずのはさみはおれの首にささり、血まみれの彼女が目の前から消えていく・・・

なんとか立ち上がり、鏡を覗くと血まみれのおれが写っていた。

約弐年ぶりのことが起きたのだ。

血まみれのままもとの世界に戻ってこられた。

大好きだった彼女にもう会うことはできない

あわてたスタッフがおれに話しかけているのに何も聞こえない。

これから先のことはもうなにもわからない。

ただ

よっぱらいが大好きな仕事場に入ってきて、ゲームに夢中だったおれをはさみで刺したということがおこったというニュースが次の日テレビで放送されていたそうだ・・。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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