これは俺が高校にも行かないでニートだった時に体験した話です。
季節は夏、丁度友人が夏休みだったと思います。
その日は友人3人と一緒にKの家に泊まりに行きました。
Kの家は二階が二部屋あり、手前の部屋は兄(K)、奥の部屋は弟とゆう位置で並んでいました。
最初はKの部屋で、付き合ってる娘の話をしたり、愚痴ったり、バカ話をしたりして、飽きてきたら弟の部屋に移動(この時弟は別の家に外泊)してゲームをしたりとそれなりに楽しんで過ごしていました。
そんなこんなであっとゆう間に時間は過ぎ、気がつけば外は真っ暗になっていたんで俺達は就寝する事にしました。
Kと友人2人はKの部屋で、俺と友人Iは弟の部屋でそれぞれ就寝する事になり、暑かったのでどちらの部屋もドアを全開にして眠りにつきました。
寝るのが遅すぎたのか、目が覚めるともう昼近くまで時間がたち、Iを見るともうすでに起きていて一人でTVゲームに夢中になっていました。
隣の部屋に耳を向けるとKと友人2人の声が聞こえていたので(もう全員起きてるんだな〜)と思いながらドアの方をボ〜っと眺めていました。
すると「トントン」と階段を上がってくる音が聞こえてきました。
(誰だろ?弟か?)
そんな事を思っているとその足音はKの部屋あたりで足を止めました。
普通この時Kの部屋の前に立っていたなら、なんかしらのリアクションがあっていいはずなのに、気付いていないかのように3人はおしゃべりを続けていたんです。
(え?一体誰だよ!?)
するとその足音はKの部屋の前から今度は弟の部屋(俺とIがいる)の方に近づいてきました。
少しドキドキしながらドアを見つめていると、ボーズ頭につり目で緑の作業服の男が上半身を傾けてヒョコっと顔を出して、こちらをじっと見つめていました。
俺はKの父親か誰かが顔を出したのかと思い、失礼ながらも寝転がったまま少し体を起こし、会釈をしてみました。
緑の作業服の男は顔色一つ変えず、その表情のまま頭を引っ込めて「トントン」と下に降りていきました。
(会釈したんだから反応を示せよ!)
とか思いながらもその日の内にKに聞いてみる事にしました。
「さっきボーズ頭の人が部屋に顔出したけど、誰だったん?」
K「さっき?…今日は誰も来てないと思うけど…」
(は!?)と思いながら
「いやいや!さっきお前らの部屋の前にいたじゃん。Iも見たろ!?」
それを聞いた俺以外全員が呆れた顔で俺を見ていました。
Kは少し考えこんだ後口を開き
K「もしかしたらおじさんが来てたかもしれない。親が近い内に親戚のおじさんが遊びにくるって言ってたし…」
疑問に思いながらも(みんな寝ぼけてたし、そんな事もあるのかな〜)と思いその場は納得してKの家をあとにしました。
その後数日たって夏も終わりの頃、俺と友人3人がいつものように遊んでいると、携帯にKから困った様子で連絡がきました。
K「今からお前ら全員うちに来てくれないかなぁ〜。ホント悪いんだけど…」
俺と友人はイヤな予感を感じながら、渋々Kの自宅に向かいました。
Kの家に着くとKが自宅の前で待機していました。
何故俺達を呼んだのか聞いてみると、どうやらKの両親が呼ぶように命令したらしいんです。
なんでも、Kは最近高校に遅刻したり休んだりしていたらしいんです。
それに疑問をもった両親が何を思ったのか、俺達がKを誘惑?して遊びすぎにより帰りが遅くなって遅刻してると思い込み、呼び出したとのことでした。
その時の俺達のあらぬ疑いによる苛立ち、不満はココには書ききれないので省略します。
家の中に通されてリビングに行くとKの両親とボーズ頭の
おじさんがあぐらをかいてドンと机の前に座っていました。
ゾロゾロ入っていき全員が席に着くと説教が始まり、文句を散々言われて俺達は下を向いて黙って聞いていました。
数時間がたってなんだかんだで両親とおじさんはスッキリしたのか、今度は俺達を交えて世間話を始めました。
俺達もその頃には心も和んで場の張り詰めた空気はいつの間にかなくなっていました。
そして泊まった時に顔を出した作業服の人の話になりました。
K「この人がこの前言ってたおじさん。」
ボーズの人を指差して言いました 。
俺は記憶を手繰り寄せて
「いや。明らかに顔も背の高さも年齢も違う…。他の人の可能性はないんですか?」
Kと両親達は腕を組んで考えていましたが
K父親「いや。その時他の人は来ていないよ。」
なんだったんだろうと色々と話をしましたが結局答えはでませんでした。
そしてかなり時間がたっていたのかそろそろ帰ろうという空気がながれてきました。
「足痺れた〜」と薄笑いを浮かべ合いながら立ち上がり後ろを振り返った瞬間息をのみました。
俺の後ろには仏壇がありその上に飾ってあった遺影にそのボーズ頭の男が軍服姿で写っていたんです。
「おい!この人だよ!あの時顔をだしたのは!」
Kと両親はビックリした顔をしながらも半信半疑で俺の顔をうかがっていました。
俺は疑われながらも記憶を整理しました。
緑の作業服だと思っていたのは実は軍服だった事…
泊まりに行ったのは丁度お盆の時期だった事…
他の人には見えなかった事…
すべての疑問が解けて心なしか気分はスッキリしていました。
(ある一つを除いては…)
その説明をその場にいる全員に話し、理解に苦しみながらも納得した様子で話を聞いてくれました。
みんな気分がフワフワした状態でその帰り道、誰かがこんな事を言いました。
「きっと先祖がKや弟の様子を知りたくて現れたのかもな!」
自分の気持ちに整理をつけたくて言った言葉なんだろうけど俺は何も言いませんでした。
その理由はドアから見せたあの顔の表情…
他の人には言わなかったけど、あの表情は苦悶と怒りに満ちていました。
今はKとの付き合いはなくなったけど今もまだどこかKやその弟が元気で生きてる事を願っています。
おわり
怖い話投稿:ホラーテラー シキさん
作者怖話